壬生藩主の献立帳公開 あすから町歴史民俗資料館 食文化知る手がかりに 信長の接待料理再現も

下野新聞
2022年11月4日

【壬生】江戸時代の壬生藩主の献立帳や当時の食文化を紹介する企画展「大名の献立-文化2年壬生御献立帳-」が5日、町歴史民俗資料館で始まる。目玉となる壬生藩鳥居(とりい)家4代忠燾(ただてる)の献立帳には、摂取量も記録されており、他の大名家にも例がないという。戦国時代のおもてなし料理や、町特産のかんぴょうについても紹介し、さまざまな資料から当時の食を知ることができる。12月18日まで。

献立帳は1805(文化2)年7月の1カ月間の朝昼晩の献立が記されており、「不残(残らず)」など何杯食べたかも記されている。江戸時代に残る献立は供宴などの特別な食事がほとんどで、食べた量が記載されているのは全国的に珍しいという。

展示に協力している立命館大食マネジメント学部の鎌谷(かまたに)かおる准教授は「摂取量は、藩主の健康状態を知る手がかりとして活用した可能性もある。(献立帳は)作り手の思いと、食べる人をつなぐ極めて貴重な史料である」と解説する。

また天下人の献立として、1582(天正10)年に織田信長(おだのぶなが)が徳川家康(とくがわいえやす)をもてなした「安土御献立」の再現模型を展示。生前の姿を写生したと伝えられる織田信長の肖像画なども並ぶ。

壬生藩の特産品としてかんぴょうと稲葉ゴボウを紹介。かんぴょう作りの資料では、かんぴょう作りの様子を描写した葛飾北斎(かつしかほくさい)の浮世絵や、かんぴょうを購入する場面を描いた漫画「サザエさん」の作品も見られる。

12月3日には、関連企画として講演会「献立から読み解く江戸時代の食」が町城址(じょうし)公園ホールで開かれ、鎌谷さんが講師を務める。無料。参加者を募集している。

(問)町歴史民俗資料館0282・82・8544。