《食いこ》くるみコーヒー(茨城・石岡市) 豆にこだわり五感で焙煎

茨城新聞
2022年8月13日

国内外の愛好家から〝ギターの聖地〟ともいわれるギター文化館(茨城県石岡市柴間)。その一角に、自家焙煎(ばいせん)専門店「くるみコーヒー」がある。店主の池田雄一さん(62)が、高品質なコーヒー豆をハンドローストしたコーヒーが味わえる。

池田さんは趣味が高じて、44歳の時、雑誌編集者から脱サラし、JR羽鳥駅付近に店を持った。7年前、妻の由利子さん(61)が縁あって同館の館長に就任したのをきっかけに、店を現在の場所に移した。

こじんまりとした店内には、クラシックギターの美しいBGMが流れている。こだわりのコーヒー豆はブラジル、インドネシア、エルサルバドル共和国、エチオピア産が主という。「焙煎の技術で、いかに魅力を引き出し、おいしく仕上げていくか」に力を注いでいる。

豆を仕入れた後は、不純物を取り出し、手間を惜しまず選別。その後、じか火でじっくり煎(い)っていく。音や香りなど五感と焙煎技術でそれぞれの豆の個性を引き出していく。「気候、湿度、種類で煎り方が違ってくる。何年やっても難しさはある。まるで毎日、実験しているよう」と微笑んだ。

煎った豆は、絶妙なタイミングでお湯を注ぎ、ドリップしていく。すると瞬く間に店内にこうばしい香りが漂ってきた。「質のいい豆は基本を忠実に守れば、おいしいコーヒーに仕上がる」が信条だ。

家庭的で気取りのないデザートも同店の売りの一つ。由利子さんが考案したベイクドチーズケーキ、十勝大納言煮あずき、プリンの3種類がある。チーズケーキは、同館の庭で採れたブルーベリーを生かした甘さ控えめのジャムが添えられている。

窓の外には、のどかな里山の風景が広がる。収穫前の稲穂が風に揺れていた。春はヤマザクラ、秋は柿の葉が赤く色づく。こだわりが詰まった一杯をいただきながら、四季折々の風景を眺めてくつろげそうだ。「思い思いの時間を過ごしてほしい。ギター文化館にも目を向けてもらえたら」と、優しいまなざしを向けた。

店内からは、四季折々の里山風景を望むことができる

 

■お出かけ情報
自家焙煎専門店「くるみコーヒー」
▽石岡市柴間431の35 ギター文化館内
▽営業時間は午前10時~午後5時
▽営業日は水曜日-日曜日
▽(電)080(5383)0963
※コーヒー豆の販売も行っている。100グラム670円~。