アムールトラ 堂々の初登場 那須どうぶつ王国 「令」一般公開を開始 CF活用し獣舎整備
【那須】大島の那須どうぶつ王国は15日、6月に秋田市の大森山動物園から迎え入れた絶滅危惧種アムールトラの雄「令(れい)」の一般公開を開始した。同施設でトラを飼育するのは初めて。将来的には雌を受け入れ、繁殖の可能性を探る。
令は2019年9月に生まれ、現在2歳。体長約2メートル、体重約180キロ。獣舎の総工費は約1億円で、このうち1500万円は昨年のクラウドファンディング(CF)で集めた資金を活用した。CF出資者による公募で「シベリアンテリトリー」と命名された獣舎の広さは約430平方メートル。滝や池を設置し、針葉樹を植栽するなど、生息地であるシベリア地域の環境を可能な限り再現した。
同日午前10時半から行われたオープニング式典で、鈴木和也(すずきかずや)総支配人(61)は「CF開始から、ほぼ1年をかけてこの日を迎えられた。支援してくれた方に感謝したい」とあいさつ。ガラス面を覆った幕が下ろされ令が現れると、来場者から「大きい」「かわいい」と声が上がった。令は落ち着いた様子で動き回り、飼育員が与えた氷漬けの鶏肉にかぶりついた。
大好きなトラを見るため、全国の動物園に足を運んでいるという福島県南相馬市、看護師菅野由美(かんのゆみ)さん(72)は「秋田でお母さんも見たが、親譲りでとても美男子」と笑顔で話した。
今年1月には高久乙の那須サファリパークで飼育員3人がトラに襲われる事故が発生したこともあり、那須どうぶつ王国は「全ての業務でダブルチェックを義務付けるなど安全対策を徹底する」としている。