日本酒酵母で ウオッカ製造 小山の西堀酒造 旧精米所改修し蒸留所 作業工程公開も計画

下野新聞
2022年6月10日

「門外不出」などの日本酒を醸造する西堀酒造(小山市粟宮、西堀和男(にしぼりかずお)社長)は9日までに、新規事業としてウオッカの製造を開始した。日本酒製造に用いられる酵母で醸すなど造り酒屋ならではの新志向のウオッカとして、発売する予定だ。西堀哲也(にしぼりてつや)取締役は「ウオッカのベースは日本酒由来。ウオッカを通じ日本酒ファンも増やしていきたい」と話している。

同社はウオッカと合わせ、ウイスキーの製造も計画している。以前から日本酒酒蔵ならではの蒸留酒製造を検討していたという。旧精米所を改修し、このほど蒸留酒製造施設「日光街道 小山蒸留所」を完成させた。広さは約200平方メートルで、糖化槽、発酵タンク、単式蒸留器などを備えた。

合わせて、醸造する際のテイスティングを行うコーナーや、作業の様子を目の前で見学できる木製回廊、10人前後を収容できる試飲・休憩所なども設けた。一般向けに公開する時期は未定だが、今後、蒸留酒製造などを解説するイベントも開く予定。

同社によると、ウオッカ製造では一般的に蒸留酒用の酵母を用いるが、同社は酒米由来の米粉を原料にした日本酒酵母で醸す。日本酒の大吟醸も一部加えて蒸留するといい、5月中旬から製造を始めた。まずは自社の酒蔵で販売を予定している。

西堀取締役は「ソフトな味わいの新しいタイプのウオッカになる。日本酒蔵の知見を生かし、酒蔵ならではの蒸留酒として打ち出していきたい」と先を見据える。

ウイスキーの本格的な醸造は7月から始める予定。シングルモルトウイスキーの場合、3年間の熟成が必要になるといい、同社は、蒸留直後の熟成していない無色透明の原液も商品化していく考えだ。