大観、文哉らの絵画展 北茨城市歴史民俗資料館 市ゆかりの芸術家作品
茨城県北茨城市とゆかりがある芸術家による絵画を明治から現代まで集めた特別展「北茨城ゆかりの絵画展-資料館収蔵品を中心に-」が、同市磯原町磯原の市歴史民俗資料館で開かれている。茨城県を代表する日本画家、横山大観(1868~1958年)の「霊峰不二」、水戸市出身の洋画家、五百城文哉(いおきぶんさい)(1863~1906年)の「平潟港」を中心に、美しく迫力ある作品をそろえた。
特別展は、県近代美術館に預けていた両作品が北茨城市に返却されたことを受け、市民や市を訪れる人に見てもらう機会をつくろうと企画。資料館の入館は通常有料だが、特別展会期中は無料とした。
「霊峰不二」は大観が金色の雲から浮かび上がる富士山を描き、1941年6月、大津町(現・同市)役場新庁舎の落成を記念して寄贈した。当時の「いはらき新聞」には、新庁舎の工費が当時の金額で2万円だったのに対し、絵画は「時価5万円」と掲載されている。
「平潟港」は、旅をしながら各地で写実的な絵を描いた文哉による作品。文哉は1893、95、1900各年に同市を訪れていて、00年に描かれた可能性が高いという。のどかな港の風景を横長の構図で表現している。
同市出身・在住の芸術家では、現在も芸術界で活躍する彫刻家、蛭田二郎さんのデッサンや大学生時代に描いた油彩画を見ることができる。市生涯学習センターで講師を務める飯塚六郎さんや、同センター分館「期待場」で創作活動を行い本年度の日展で入選した舟生太一さんの作品も展示した。
このほか、同市出身の童謡詩人、野口雨情(1882~1945年)と交流があった小川芋銭、雨情の伯父である野口勝一、岡倉天心を五浦に案内した飛田周山の絵画を紹介。また雨情と関わりがあった画家の岡本帰一、加藤まさを、竹久夢二、川端龍子による挿絵「童画」を置いた。
会期は5月8日まで。開館は各日午前9時~午後4時半(入館同4時まで)。月曜休館。