オリジンパーク開館 日立創業の精神伝える 一般見学スタート 茨城
創業の精神を社内外に伝える新たな施設として、日立製作所が茨城県日立市大みか町6丁目の「大みかクラブ」敷地内に整備を進めてきた「日立オリジンパーク」が5日、開館した。オープニングセレモニーで同社の東原敏昭会長兼最高経営責任者は「グローバルに事業展開していくが、原点はこの場所だ」と強調した。一般見学は6日スタートシタ。
オリジンパークは先行き不透明な時代に、国内外の同社従業員37万人が創業者・小平浪平の掲げた企業理念を再確認するとともに、市民が自由に見学することでものづくりの歴史に触れ、社会の課題解決を考えるきっかけとなる場所とするのが狙いだ。
小平浪平の功績と同社の歴史を紹介する「小平記念館」、原点となった5馬力モーターを開発した「創業小屋」、小平浪平の指示で造られた「大みかゴルフクラブ」、同ゴルフ場のクラブハウス「大みかクラブ」の4施設で構成。「起源」を意味するオリジンを名称とし、小平浪平にまつわる施設を集約した。ゴルフ場を除く建物群の延べ床面積は4553平方メートル。
メイン施設の小平記念館は1910年開発の5馬力モーターの実物をはじめ、その図面などの資料類、洗濯機やテレビ、テープレコーダー、アナログ計算機など同社の歴史をつくってきた製品が並び、小平浪平の学生時代の日記や愛用のカメラなども展示されている。旧施設は重電部門に力点を置いた展示だったが、日立製作所全体の歩みをたどれる内容に変更。映像や写真パネル、年表などで効果的に企業理念などが紹介されている。創業小屋は新たに復元した。1時間ほどで見学でき、入場無料。
オープニングセレモニーで、オリジンパーク整備について東原会長は「迷ったときに戻るのは原点。1910年の小平浪平に戻るのが大事と考えた」と説明。来賓の小川春樹日立市長は「オリジンパーク誕生は意義深く、市としてもうれしい」とあいさつした。
オリジンパークは本社管轄となり、年間2万人の来場者を見込む。来年早々にはホームページから見学できる「バーチャルツアー」も整備する考えだ。
旧小平記念館は同市幸町3丁目の同社日立事業所海岸工場内にあり、1956年の完成から60年以上が経過し老朽化。一般公開されていたものの、工場敷地内で見学には予約が必要なことから、同社は2018年夏ごろからの検討で、市民が気軽に立ち寄れる場所に建て替え、創業小屋も併せて再復元するのが妥当と判断。20年5月に着工、整備を進めていた。
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