優しさ包んだ老舗の味 ハンバーグライス ホクシン軒食堂(足利)

下野新聞
2021年7月10日

 ふんわり柔らかな食感、甘いソースに胃も心も満たされる。「うまさとボリュームの店」を掲げる店の看板メニュー「ハンバーグライス」(750円)は、優しさを包んだような逸品だ。

 牛と豚の合いびき肉などとこねるのは、シャキシャキの生タマネギ。ラードを溶かした鉄鍋で焼き色を付けた後、弱火でじっくり火を入れる。ケチャップベースの秘伝ソースを煮絡めて完成。絶妙な甘みと酸味で白飯が進む。具だくさんのみそ汁やたっぷりのサラダもうれしい付け合わせだ。

 老舗を守るのは3代目渡辺善弘(わたなべよしひろ)さん(69)、秀子(ひでこ)さん(67)夫妻。初代は東京・浅草で日本そば、台湾でラーメンを売り、旧国鉄足利駅前でのラーメン屋台を経て大正初期、洋食を取り入れた「カフェー」として店を構えた。変遷を物語るようにメニューは豊富。「ショウガ焼肉ライス」(650円)、「ラーメン」(500円)はハンバーグと並び根強い人気を誇る。

 元号が変わり、街並みも客層も変わった。変わらないのは優しい味と店に掲げる「我足ることを知る」の商売訓。夫妻は「欲は出さない。お客さんとおしゃべりを楽しみつつ、のんびり続けたい」とほほ笑んだ。

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