郷土の7偉人紹介 幕末から明治維新 かすみがうら市立歴史博物館 実業家や検事、医師

茨城新聞
2021年5月18日

幕末から明治維新にかけて各方面で活躍した、茨城県かすみがうら市ゆかりの実業家ら7人を紹介する企画展が、同市坂の市立歴史博物館で開かれている。横浜市の発展に寄与した高島嘉右衛門など、水戸藩で生まれた水戸学の思想の影響を受けたり、尊王攘夷(じょうい)運動に関わったりした。維新後に近代日本の形成に貢献した足跡をたどっている。

企画展は「新時代への夜明け~水戸藩の影響を受けた志士たちの明治維新」と題して企画した。

高島嘉右衛門はある罪で投獄され、獄中で易経に没頭した。人の行動パターンや、どんな人と付き合い商売するかを言い当てる占いに優れ、「高島易断」を広めた。横浜で建築請負を始め、建築ラッシュで財を成した。「公の利益のため」に横浜駅や下水道、ガス灯、学校といった街の基盤を次々と造り、息子の嘉兵衛にも引き継いだ。

飯田吉英(よしふさ)は「ソーセージの父」と評され、日本に肉食文化を広めた功績で知られる。水戸学を学び、日露戦争に志願。外国人との体格の違いを痛感し、肉食文化を定着させたいと米国で畜産学を習得した。役人になって、第1次世界大戦のドイツの捕虜からソーセージ製法を学んだ。全国から製造業者を募り普及に努めた。その中には現在の大手ハム会社の創業者もいた。

尊攘志士だった古渡(こわたり)喜一郎は江戸後期に江戸の市中警護に当たった新徴組で活躍した。維新後は地元に戻って警察官となり各地で職務をこなした。

尊攘志士から警察官になった古渡喜一郎の肖像画

 

貝塚徳之助は明治期に法律を学んで検事になり、全国各地に赴任しつつ、法学者としても名をはせた。

中島以政は戊辰(ぼしん)戦争を経て、明治期には篤農家として農作物の品種改良や新しい農法づくりなどで地域農業の指導的立場を貫いた。

古宇田傚太郎(こうたろう)は医師となり東京・有楽町で開業。伝染病の専門家となった。

千葉隆司館長は「幕末から明治維新に向け、身分に限らずあらゆる方面で日本を立て直そうとした。その中に地元の人がいたことを知ってほしい」と話した。

企画展は7月4日まで。月曜休館。

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