へっぽこ先生が見た風景 鹿沼市美術館 教師時代の川上澄生展 木版画や資料80点紹介
【鹿沼】市川上澄生(かわかみすみお)美術館で企画展「わたしたちの“へっぽこ先生”宇都宮中学校・宇都宮女子高等学校 教師時代の川上澄生展」が開かれている。版画家川上澄生(1895~1972年)が英語教師として過ごした宇都宮中学(現宇都宮高)や宇都宮女子高時代の作品や資料など計80点を、2章構成で紹介している。4月4日まで。
第1章は「宇都宮中学校との関わり」。川上は1921年に英語教師として赴任した。校舎の「白亜館(はくあかん)」とその内装を題材にした木版画「風景(宇都宮中学校講堂)」(30年、縦9・8センチ、横16・3センチ)などの作品を通して、川上が教師として見た風景を紹介する。川上が作成した英語の問題用紙も初展示する。
第2章は「宇都宮女子高等学校のなかで」。生徒と教職員が発行した版画同人誌の創刊号「鈍刀(どんとう)」(51年)や、川上がデザインを担当した白百合をモチーフにした校章などを展示する。版画誌に寄稿された生徒や教職員の個性豊かな版画を披露している。
展覧会名の「へっぽこ先生」は、アルファベット順にさまざまな職業を紹介する川上の木版画集「えげれすいろは人物」(35年、縦19・6センチ、横13・6センチ)の「I」の項目から取った。「INSTRUCTOR、私はへっぽこ先生なり」と自身を紹介している。
相澤美貴(あいざわみき)学芸員(26)は「自分のことを自虐的に紹介したのでは」と推測しつつ、「実際は髪形がハリネズミのようだったので『ハリさん』と呼ばれていたようです」と解説する。
会場には川上と交流のあった宇都宮女子高の卒業生らが訪れて、当時を懐かしんでいるという。相澤学芸員は「川上が見た色鮮やかな学校生活の作品を楽しんでもらえれば」と話した。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今月21日まで利用者を市民に限定している。(問)同館0289・62・8272。
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