茨城県産の逸品紹介、交流の場も 鉾田の「鹿行マーケット」 田中店長「遠方から人呼びたい」
昨年6月、国道354号と県道茨城鹿島線が交わる鉾田市札の交差点近くで、茨城県産品などを販売する「rocco market(鹿行マーケット)」がオープンした。魅力ある商品を販売する一方、敷地内の家屋をイベント会場として地域住民に開放。店長の田中央樹さん(57)は「遠方から人を呼び込み、地域の人と交流できる場所にしたい」と話す。
■作り手の思い
同店は、太陽光発電事業などを展開するエコワン(鹿嶋市下塙、山田孝行社長)が6次産業化事業の一環として出店。開放的で木のぬくもりが感じられる店内には、鹿行地域をはじめ、県内のえりすぐりの食品や工芸品がずらりと並ぶ。
商品はほぼ全て、田中さんが選んだ。店の営業日を金-日曜に限定し、残りの日は仕入れと商品探しに充てている。味や機能はもちろん、外装も洗練された逸品をそろえている。
仕入れ先との会話も大事だ。「商品の価値をお客に伝えるのも大事」と、作り手の思いを理解した上で販売している。
■こだわりのロゴ
出店に当たり、田中さんがこだわったのは店の顔となるロゴの制作。複数のデザイナーに発注した中から、「鹿」の字を丸で囲い、その下に店名を入れたデザインを採用。文字は黒一色。「情報を少なくし、見た人が気になるものを選んだ」と狙いを語る。
店舗の場所は、国道から細い路地を入った集落の一角。立地に恵まれていると言えないため、県道から見える店の外壁にロゴを掲出した。すると、初見の客のほとんどが、ロゴが気になり来店しているという。
10月下旬、同店隣の県道沿いに、同社が野菜直売所を併設したスーパー「鹿行市場」をオープンさせた。スーパーにも同じロゴを使い、相乗効果を期待する。
■これからを創る
店舗はもともと木材店の倉庫。屋根の修復などは業者に依頼したが、内装は田中さんが手掛けた。敷地内には平屋建て家屋があり、8~10畳の和室6部屋を地域の人に無料で貸し出している。
店のコンセプトは「茨城の『これから』を創る場所」。人口減少が進む地域の空き家、空き倉庫を活用し、県産品の魅力を発信するとともに、新たな交流を生み出そうとしている。
一連の取り組みは、茨城県のブランド力向上に向け、優れたデザインの商品や活動をたたえる本年度の「いばらきデザインセレクション」で「奨励」に選ばれた。
田中さんは「面白そうな店ができたで終わらせたくない。地域や県内の人に力を借りて育てていきたい」と熱意を語った。
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