苦難乗り越え再開 台風19号で全壊の大子・上小川キャンプ場 1年1カ月ぶりテント並ぶ
昨年10月の東日本台風(台風19号)で久慈川が氾濫し、3棟を残して35棟のバンガローが流されたりした状態から復活を遂げ、大子町頃藤の上小川キャンプ場が21日、プレオープンした。再起に向け歩み出した矢先、新型コロナウイルス感染症の影響で整地作業や建物建設がたびたび延期となったが、その時期を耐えて1年1カ月ぶりにテントが並び、キャンプを楽しむ声がこだました。
前回東京五輪の翌年の1965年8月にオープンし、3代続くキャンプ場。経営する竹内智洋さん(66)は、時代とともに変わるキャンプのスタイルや客のニーズに応えながら、憩いの空間の提供に力を注いできた。
久慈川河川敷にある場所のため、「幾度も水害に遭い、その度改修を重ねてきた」。しかし、昨年の台風はかつてない猛威を振るった。「キャンプ場が跡形もなくなり、足を踏み入れることさえできなかった状態に、ただぼうぜんとするしかなかった」と振り返る。
生きがいをそがれ、しばらく何もやる気が起きなかったが、片付けの手伝いに駆け付けて発電機を持ち込むなどして励ましてくれた常連客や、妻や息子2人の支えが、背中を押した。
その矢先、今度は新型コロナウイルス感染症の影響が襲った。建物の資材搬入が止まり、工事が中断。関係機関には、再開に向けた補助金や建設許可の申請に何度も足を運んだ。8月になり、ようやくキャンプ場作りが始まり、先月電話が通って再開にこぎ着けた。
今回、長男の佳久さん(30)に経営者を任せた。智洋さんは「どこまで利用客が戻ってくるか不安だった」と話す。まだ続くコロナ禍の中で、プレオープン期間の今週末から来週末までは、約40組100人に限定する。
この日は、午前9時の開場前から、続々とキャンパーたちが県内外から車やバイクでやって来た。竹内さん親子は受付窓口で、「待ってました」「おめでとう」「良かったですね」などと声を掛けられ、マスクの奥でほほ笑んだ。
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