《食いこ》古民家かふぇ木鋸(稲敷市) 多彩な地場産食材を集結 建築士が1人で切り盛り
稲刈り後の田んぼ、水神さまを祭る小さなほこらと、周辺にのどかな風景が広がる稲敷市の「古民家かふぇ木鋸(きのこ)」。木のぬくもり漂う飾らない店を1人で切り盛りする店主の池田恵子さん(65)は2級建築士。「人と人とをつなぐ場をつくりたい」と、平日は建築の仕事にいそしみ、日曜日だけ営業する。店を開いたのは約10年前だが、仕事の忙しさなどから休業。2019年2月に営業を再開した。
「店を開き、いろいろな人と出会い、地元の食材を紹介してもらった。ふるさとの稲敷がこんなに懐の深い所だとは思わなかった」と食の豊かさに驚いた。それらを集結したのが、地場産の食材をそろえた「稲敷まるごとランチ」だ。予約で受け付ける。この日は、マッシュルームやレンコンなどの野菜類、チーズ、ベーコンなど多彩な食材の料理が並んだ。デザートにも力を入れ、同市産シャインマスカットや自家製クリの渋皮煮など充実する。
漁が解禁中の霞ケ浦のシラウオもその一つ。「勘違いされやすいがシラウオはシラスとは違う。海のシラスは成長するとイワシになるが、湖のシラウオは同じ姿」と説明。いつも提供できるとは限らないが、生の新鮮なシラウオは「臭みがないように下ごしらえしている」。
実家は代々続く材木商と建築業を営む工務店。大学時代古民家調査のゼミに所属、日本民俗建築学会に所属するほどの「古民家好き」。古い物の良さを伝えたいと、店舗は大正時代に建てられ、材木倉庫として使われていた農家を改装した。
店名の「鋸」はのこぎりのこと。木の仕事に携わる身として「合板にはない無垢(むく)の木の良さを感じてほしい」と店内の椅子やテーブルなどは大工さんに作ってもらった。
店舗の裏手を流れる霞ケ浦に注ぐ小野川の舟運を調査研究する傍ら、「小野川をきれいにする会」を立ち上げ、ごみ拾いなどを行う。20代に単独でネパールに仏教徒の中世都市調査に出向いた行動派。カフェでは「ネパール仕込み」の自家製キーマカレーを出す。今は地元に目を向け、仲間たちと活性化に励んでいる。
■お出かけ情報
古民家かふぇ木鋸
▼住所は稲敷市伊佐津312
▼営業時間は日曜午前11時~午後7時
▼定休は月曜~土曜
▼(電)090(3222)1615
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