養殖コイでメンチカツ 霞ケ浦・漁協など開発 7月1日から販売 観光客へ、バーガーも
全国1位の生産量を誇る茨城・霞ケ浦の養殖コイを使ったメンチカツとメンチカツバーガーを地元漁協などが開発し、7月1日から販売を始める。先行提供した給食で食べた地元児童のアンケートから着想し「コイするメンチカツ」と命名。年間千個の販売を目標に、茨城県かすみがうら市坂の市交流センターなどで取り扱う。地元の伝統食材を身近に味わってもらおうという企画で、開発を後押しした県は「サイクリングなどで霞ケ浦周辺を訪れる観光客のランチやお土産に」と期待する。
県霞ケ浦北浦水産事務所によると、霞ケ浦の養殖コイは飲食店や旅館、直売所で「うま煮」や刺し身として提供されるほか、他県に生け魚で出荷されてきた。
生産量は1982年の8641トンをピークに6千~5千トン台で推移していたが、2003年のコイヘルペスウイルス(KHV)流行により07年まで出荷停止となり、その後は千トン台まで落ち込んだ。近年はコロナ禍が追い打ちをかけ、旅館や飲食店での消費量が大幅に減少。22年は763トン(速報値)となっている。
地産地消を進めることで新たな需要を喚起しようと、霞ケ浦漁業協同組合(同県行方市)の霞ケ浦養殖加工部が中心となり、加工品の開発に着手。水戸市内の総菜製造会社と協力し、メンチカツを開発した。給食には21、22年度にかすみがうら市、石岡市、土浦市、美浦村の県内小中学校で約2万3500食を提供し、好評を得たという。
製品は「肉を使ったメンチカツに近い味」(県担当者)で、魚が苦手な人にも食べやすく、脂身が少ないヘルシーな仕上がりとなった。養殖コイと同様に生産量全国1位の県産レンコンも入れ、シャキシャキとした食感を加えた。下味が付いているため「何もかけなくてもおいしい」(同)としている。
メンチカツ(冷凍)は80グラム3個入りで850円。バーガーの販売価格は未定。かすみがうら市坂の市交流センター、同市牛渡のパン店「パンプキン」で取り扱う。同市のふるさと納税の返礼品としても検討しているという。
県霞ケ浦北浦水産事務所振興課の高橋佑太朗水産業普及指導員は「地元に対する愛着を高めてもらいたい」と話した。