稲敷市・移住促進策 空き家改修、田舎体験

茨城新聞
2016年1月4日

都会の若者に空き家を改修してもらい、田舎暮らしを体験してもらう取り組みが稲敷市で始まった。人口減少に悩む市が市外からの移住促進につなげようと企画した。空き家は、今年9月を目標に「お試し住宅」へ改修。同住宅に1週間程度滞在する若者に市の魅力をじかにアピールするのが狙い。市の地域おこし協力隊員が世話役として、滞在者をもてなす。

霞ケ浦にほど近い、同市上須田の空き家に昨年12月中旬の2日間、市内外から男女約40人が集まった。参加者は、ほこりまみれになりながら、空き家の壁や天井を剥がしたり、裏庭に生い茂った雑木を切り出したりするなど、作業に没頭した。

同月始まった市の「空き家再生プロジェクト」の一環で、月1回程度、地元の職人を招き、空き家を改修する講座を開催。大工仕事などを体験できる講座として、インターネットの交流サイト「フェイスブック」などで参加者を募った。作業が済んだら、1週間ほどの短期滞在者を募集する。

東京都八王子市台町、会社員、松原功さん(27)は「田舎暮らしに憧れがあった。近所の人たちが差し入れをくれて、人付き合いの温かさを感じた。こういう地域に住んでみたい」と好印象を持った様子。

隊員でプロジェクトを企画した高島聖也さん(24)は「『自分の手で家造りをしたい』という若者たちの潜在的な声を形にした。稲敷に来るきっかけにもなる」と説明する。

短期滞在が始まれば、高島さんが世話役として付き添い、市内を巡る観光ツアーや地元住民との交流会などを通して市の魅力をアピールする。

市人口減少対策室は「都心の近くで本格的な田舎暮らしができる立地の良さを知ってもらい、移住を実現させたい」と期待を寄せている。 (鹿嶋栄寿)

地図を開く 近くのニュース