水戸中心街に遊具彫刻 イサム・ノグチがデザイン 日常にアート

茨城新聞
2021年9月17日

20世紀を代表する彫刻家、イサム・ノグチ(1904~88年)のデザインした遊具彫刻「プレイスカルプチュア」が、水戸市南町3丁目のまちなか・スポーツ・にぎわい広場(M-SPO)に設置された。同作品は国内数カ所に設置されている。市街地に現れたアートに、親子連れなどが足を止め、自由に遊んでいる。

母親に見守られながら「プレイスカルプチュア」で遊ぶ子ども=水戸市南町

 

作品は東京都美術館で8月末まで開催されたノグチの企画展で、新たに制作された。

「大地の彫刻家」とも呼ばれたノグチは、日本人の父と米国人の母との間に1904年に米国で生まれた。ニューヨークを拠点として世界中で彫刻や庭園の設計、インテリアデザイン、舞台美術など幅広く活躍。日本の芸術家との交流も深い。県内では、60年に真壁町(当時)で御影石を使った巨大なモニュメントを制作、米国のテキサスに送った。69年には香川県にアトリエを構え、札幌市のモエレ沼公園の設計に取り掛かった88年、84歳で死去した。遊具彫刻にも情熱を傾け、同作品は日常の中にアートを持ち込みたいという思いでデザインした。子どものための遊具彫刻だ。

同美術館の中原淳行学芸員は「(ノグチは)人々の平和に自分の芸術的な実践を寄与したいと、非常に大きなテーマが生涯を貫くライフワークにあった。通り掛かった子どもが吸い寄せられるよう遊んでいる光景が、彼が望んでいた自らの彫刻の在り方と思う」と話した。

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