ガラスで描く美世界 行方のデザイナー藤代さん 14日から水戸で個展

茨城新聞
2016年7月13日

 世界的に活躍する行方市のグラフィックデザイナー、藤代範雄さんが新たに取り組むガラス作品を発表する個展「光の芸術 藤代範雄ガラス展」が14日から、水戸市泉町1丁目の京成百貨店6階アートギャラリーで開かれる。高温で溶けた色ガラスを使って一瞬で描いた美を、透明なガラスで閉じ込めた作品群。美しい自然風景の映り込んだ雫(しずく)のような趣で、きらきらとエネルギッシュな光を放つ。
 若き日にクリスタルガラス会社で修行を積んだ藤代さんが、ガラスと〝再会〟したのは最近のこと。沖縄で見た琉球ガラスの美しさが、ガラス制作への情熱を再び呼び覚ました。そして今回「初心に戻って夢中で作り続けた」。沖縄に何度も通い、ガラス工房を借りながらがむしゃらに制作に打ち込んだ。
 高温に熱した鉄板の上に、約1200度で液体状の色ガラスを垂らして描く技法。ガラス壺(つぼ)から赤や青、緑色などさまざまな色ガラスを素早くくみ上げ、頭の中で描いていたモチーフの風景などを描く。その間わずか数秒間。最後に表面に透明ガラスを流し、コテで押さえつけて〝風景〟を閉じ込める。
 「一瞬の気の緩みも許さない作業。高温も半端じゃない。作ってもすぐに割れて、数え切れないほど作品がだめになった。その分、出来上がりの感動はものすごいものがあった」と藤代さんは声を強める。
 そうして生まれた新作は軽やかである一方、琉球ガラス独特の輝きがエネルギーを放つ。30~50センチほどの円盤状のガラス作品の中には、袋田の滝や富士山、海、ビーナスなどをモチーフにした美しい世界が広がる。藤代さんは「初めての挑戦。見てくださる方たちの反応が楽しみ」と語る。
 藤代さんは、茨城デザイン振興協議会会長、日本グラフィックデザイナー協会運営委員。フランスルーブル装飾美術館などにも作品が永久収蔵されている。
 会期は20日まで。問い合わせは同店(電)029(231)1111

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