創業2年で「金賞」品質  Nikko Brewing(日光)

下野新聞
2021年7月21日

 日光市木和田島の「Nikko Brewing」は、2018年4月にオープンした。奥日光で観光物産店を営む三本松茶屋が母体。地元飲食店とつながりが深く、市内の飲食店で目にする機会が増えている。

 既成概念にとらわれない新しいものを作りたいと、立ち上げスタッフは全員がビール醸造の初心者。ヘッドブルワー(醸造責任者)の細田央(ほそだひろし)さん(30)もかつてはITベンチャーで激務をこなす日々を送っていたが、妻の地元・日光への移住で転機が訪れた。偶然、新ブルワリーのスタッフ募集を知り、安定収入が見込めるITの仕事との二択に悩んだが、「せっかくならば夢に挑戦してみよう」とこの世界に飛び込んだ。

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 数多くのブルワリー立ち上げに携わった醸造家から1年にわたって技術を学び、フラッグシップ商品「THE NIKKO MONKEYS」が完成した。

 創業2年ほどの新規ブルワリーながら、国内で醸造されるビールの審査会「ジャパン・グレートビア・アワーズ2020」で、その実力が認められた。果実を感じさせるフルーティーな味わいのペールエールが最高賞の金賞、ほどよい苦みとコクが楽しめるプレミアムラガーが銀賞に輝いた。

 こだわったのは味だけではない。せっかくおいしいビールを作るのだからと、ラベルデザインを都内のデザイナーに依頼。日光のサルたちがバンド演奏しているポップな絵柄で、飲み終わっても飾っておきたくなるくらいかわいらしい。

 スパイシーな香りとすっきりとした味わいが特徴の「NIKKO BELGIAN」シリーズは、かつて中禅寺湖畔のベルギー大使館別荘でビールが親しまれていたストーリーから誕生。食事と調和するビールを目指した。

 県産イチゴをふんだんに使用した「Strawberry Ale」は、イチゴの甘酸っぱい風味があり、デザート感覚で楽しめる一杯。規格外のイチゴを使うことで安く仕入れができる上、生産者にも廃棄ロスを減らせるメリットがあるという。

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 新型コロナウイルス禍による「家飲み需要」で瓶詰が重宝されるようになり、土産物店だけでなく地元スーパーなどでも入手できるようになった。さらにクラフトビール専門の産地直送通販サイトに参入するなど、県内外でファンを着実に増やしている。

 「酒蔵の酒かすや名産の山椒(さんしょう)といった地元の物を使って個性的な味わいを生み出せるのがビールの魅力。地元の方にもたくさん飲んでいただき、日光に根付かせたい」と細田さん。Nikko Brewingの挑戦はまだ始まったばかりだ。

 【メモ】日光市木和田島1564の4。午前10時~午後6時。火曜定休。生ビールは工場併設のタップルームやmeraki食堂(宇都宮市)で味わえるほか、瓶詰は吉田屋酒店、日野屋酒店(いずれも日光市)などで購入可能。「THE NIKKO MONKEYS」は、ペールエール、プレミアムラガーとも330ミリリットル入り680円。(問)0288・25・3631。

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