文書でたどる豪商一族 石岡発展に貢献 村田宗右衛門の企画展

茨城新聞
2021年5月27日

醸造業で財を成し、近世-近代の石岡の形成、発展に大きな役割を果たした豪商、村田宗右衛門(初代~3代)をテーマにした企画展「村田宗右衛門の本棚」が、茨城県石岡市総社の市立ふるさと歴史館で開催中だ。文書や書籍など数十点の資料を通し、仕事、教育、趣味といった側面で一族の姿を浮かび上がらせている。

村田宗右衛門は、近江商人の流れをくむ一族だった。初代(1770~1833年)は江戸時代の1829(文政12)年に現在の滋賀県日野町から石岡に移り住み、酒やしょうゆの醸造業を始めた。続く2代目(07~65年)が幕末ごろに事業を拡大。「富士一山」という酒の銘柄が「新撰(せん)銘酒寿語録(すごろく)」という全国の銘酒カタログにも掲載されるほどに躍進させた。

続く3代目(43~1901年)は、江戸時代の終焉(しゅうえん)と、明治維新を挟む時代に生きた。醸造業は徐々に下火になった一方、本人は社交家・文化人として、存在感を示した。現在もある石岡守木町郵便局は、3代目が1873(明治6)年に創設した石岡で初めての郵便局でもある。

同市文化振興課の竹内智晴さんによると、当家から寄贈を受けるなどして市が所蔵する村田宗右衛門関係の文書資料などは約300点に上る。昨年から保存処理を始めており、「今回はその中で得た新知見などを紹介している」という。

新知見の一例としては、明治初期の3代目の戸長としての働きに関わるものがある。明治政府の地租改正に伴い、作成した「地引帳」「地位等級帳」や、三角形に分割する「三斜法」で土地の面積を割り出していたことをうかがわせるメモなどだ。竹内さんは「石岡の歴史を語る上では外せない一族で、師弟の教育やプライベートな嗜好(しこう)がうかがえる資料もあるので、この機会に足を運んでもらえれば」と話している。

8月1日まで。入館無料、月曜休館(祝日の場合翌日)。問い合わせは同館(電)0299(23)2398

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