明治の絵師2人に焦点 那珂川・広重美術館 きょうから企画展

下野新聞
2021年5月14日

 【那珂川】明治期に独特の表現で活躍した浮世絵師2人に焦点を当てる企画展「明治を生きた浮世絵師-小林清親(こばやしきよちか)と井上安治(いのうえやすじ)」が14日、町馬頭広重美術館で始まる。6月13日まで。

 小林清親は明治初期、「光線画」という西洋の陰影法を取り入れた新しい浮世絵を発表し、人気を博した浮世絵師。井上安治は清親の弟子で、清親の画風を継承し17歳から作品の発表を始め、26歳で病死した。企画展は文明開化の時代に輝きを放った2人の画業を、作品58点からたどる。

 清親の光線画は光と影、遠近が色の濃淡で繊細に表現され、西洋絵画のような雰囲気が漂う。安治の画業は10年ほどと短かったものの、最初の作品を発表してから1年ほどで既に師をしのぐ腕前だったという。

 2人は当時の日本人だけでなく、日本文化に注目する海外からも好評だったという。太田沙椰香(おおたさやか)学芸員は「2人の共通点と違いを見比べながら、作品を通し、古い物と新しい物が混在した明治時代の面影を味わってほしい」と話す。

 歌川広重(うたがわひろしげ)の錦絵など17点を展示する「浮世絵の女性たち。」も同時開催。入館料は大人500円、高校・大学生300円。月曜休館。(問)同館0287・92・1199。

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