宮司お手製 焼き芋人気 茂木・八雲神社 「街のにぎわい一助に」

下野新聞
2021年3月5日

【茂木】「八雲さん」などと呼ばれて親しまれる中心市街地の八雲神社の小堀真洋(こぼりまさひろ)宮司(48)が自作の焼き芋器を使い「壺(つぼ)焼き」の手法で焼いた焼き芋が、ひそかな人気を集めている。境内で定期的に開いてきたマルシェに触発され、「街なかににぎわいを」と生み出した素朴でささやかな「神社スイーツ」だ。

「これで特許が取れたらいいんですけど」。容量90リットルの大型ブリキ缶を使い小堀宮司が考案した焼き芋器は、買えば1台20万円ほどと高額の壺焼き用窯の代用品だ。市販の道具を組み合わせ、試行錯誤の末、材料費5万円ほどで実用に堪える焼き芋器に仕立てた。

芋は5アールほどの畑で無農薬、町の「美土里たい肥」で栽培する「紅はるか」。秋に収穫した約1トンを茂木駅西の軍需工場跡の洞窟で貯蔵して糖度を上げ、この時季から焼く。販売は2季目。神社の仕事の合間に、芋作りから商品化までほぼ全て小堀宮司が手掛ける「つぼやきいも こがねちゃん」(500円)だ。

「外が焦げていないので皮ごと食べられる。ねっとりしてスイーツみたい」。商品を一手に預かる八雲神社隣の食料品店「こがねや」の朝の店先。店を仕切る中村洋子(なかむらようこ)さん(75)と客の小井戸、豆腐店蛭町隆一(ひるまちたかいち)さん(74)は「もっと広く知ってほしいね」と笑顔で顔を見合わせた。

「人が減った街の中に人が来るようになればって。まーちゃん(小堀宮司)頑張ってるから」。中村さんは小堀宮司の思いを意気に感じている。今は「どんどん売れる」評判の商品に育ってきた。

小堀宮司は仕事後に夜、週2回、つきっきりで約1時間半余りかけ計約30パック分の芋を焼く。「喜んでもらえてうれしい。『御利益がありそう』と言う人もいるが、そちらはお札を神社で」と苦笑いした。

(問)こがねや0285・63・0168。

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