《旬もの》サツマイモ農家の焼き芋 「米川農園 佐之衛門」(鉾田市) 「冷やしてもおいしい」

茨城新聞
2021年1月29日

冬に合う熱々の甘い焼き芋。鉾田市の「米川農園 佐之衛門(さのえもん)」は、自家栽培したサツマイモで焼き芋を作る。農作業の傍ら、米川睦美さん(51)が「品種や形、大きさはもちろん、その日の天気で焼き上がりが変わってしまう」と状態を見ながら芋を動かしたり焼き時間を調整したりして、オーブンでじっくりと焼き上げる。米川さんはJA茨城旭村甘藷(かんしょ)部会婦人部長や女性農業士として地元産農産物の広報活動にも力を入れる。

品種で変わる色や味わい

生産するサツマイモは食味や色などが個性豊かな6品種。滑らかで後味の良い、濃厚な甘さの「シルクスイート」、しっとりして糖度が高い「紅はるか」、やわらかな「あいこまち」、カボチャのようなオレンジ色の「ハロウィンスイート」に、今シーズンからしっとりした紫の「ふくむらさき」、ほくほくした「すずほっくり」が加わった。

キュウリやコマツナなども栽培する同農園。サツマイモは同JA経由で市場出荷する。「味は変わらないのに規格外で市場に出せないのはもったいない」と6次産業化を図り、2016年12月から焼き芋の製造販売を始めた。「佐之衛門」は屋号から付けた。

海に近いサツマイモ畑付近は、生育時期の6~8月ごろ「潮霧」が発生するという。「海水を散布してミネラルや甘さのある農産物を育てている地域もある。海水を含んだ鹿島灘からの霧が適度な塩分を与え、サツマイモを甘くおいしくしてくれるのでは」と推測する。

9~11月が収穫期。収穫後は貯蔵して糖度を高める。「長期間保存できるように、倉庫内を蒸して温度を上げてから冷却するキュアリング処理を施し、貯蔵してデンプンを糖化させる」と説明する。貯蔵期間で変わる糖度に合わせ、焼き加減も変えるという。焼き芋は通年で製造販売。「一年を通じて6種類をそろえて提供できるようにしたい」と収穫量を充実させるのに意欲的だ。

焼き芋は冷凍し、ホームページなどからのインターネット販売のほか、市内のサングリーン旭村や大洗町のまいわい広場など近くの農産物直売所に出す。直売所では寒い時期だけ常温でも販売する。「冷凍はレンジで加熱後、さらにオーブントースターで焼くと焼きたてのような味わいになる。冷やしてもおいしい。半解凍ならアイス感覚で食べられる」。焼き芋は夏にも合う。

■メモ
米川農園 佐之衛門
▽住所は鉾田市上釜4169
▽(電)・ファクス0291(37)4547
▽ホームページは
https://sanoemon.com/

地図を開く 近くのニュース