《旬もの》冬の赤ネギ、甘く柔らか JA新ひたち野ネギ部会ひたち野支部(石岡市)

茨城新聞
2021年1月14日

ネギといえば白と緑だが、白い葉鞘(ようしょう)の部分が赤紫色の赤ネギもある。JA新ひたち野ネギ部会のうちひたち野支部(石岡市)の8人が赤ネギの県オリジナル育成品種「ひたち紅っこ」を栽培する。

栽培するのは「ひたち紅っこ」

「緑の葉(葉身)まで食べられるほど柔らかい。寒くなるほど甘さを増す」と石岡市でひたち紅っこを作る同支部の川並千代子さん(76)。その柔らかさは普通の白ネギを食べると「こんなに硬かったのか」とびっくりするほど。そのため、折れやすいという栽培の難しさもあるという。

「赤紫色にはアントシアニン成分が含まれるという分析結果が出ている。寒さにあたるほど濃く鮮やかな色になる」と同JAひたち野営農経済センターの樫村直輝さん。「11月が暖かかったせいか、いつもより赤くなるのが遅く、12月下旬にやっと発色が良くなってきた。年明けがちょうど最盛期」

2006年からひたち紅っこを作る川並さんの赤ネギ畑。収穫するときの相棒は機械ではなく、くわ。寒さの中で寄せた土を掘る。「かがんでしまうと力が入らず抜けない」と小柄な体を折るようにして赤ネギを抜いていく。

収穫後は出荷調整作業を行う。乾燥すると薄皮がパリパリに乾いてしまいむきにくいため、土が乾く前に手際よく1本ずつ手できれいにしていく。土をこそげ落とし薄皮をむくと、赤紫色の部分が艶やかに。赤くなるのは外側の数枚。「皮をむきすぎると白い部分になってしまうから機械は使えない」。会話しながらも、皮をむきすぎないようにネギから目を離さない。「本当に手間がかかるよ」の言葉に実感がこもる。

種から赤ネギを育てる。収穫しながら秋に種をまく生産者もいるが、川並さんは収穫が終わる2月末から3月ごろの春にまき、5月末ごろ定植する。同部会では毎年、生産者の畑ごとに土壌検査を行い、その土に合わせて肥料を施し、土作りを行っている。

ひたち紅っこは生産者が太さや長さ、色の規格に応じて等級ごとに選別し袋詰めしたものを箱詰め。全農いばらきを通して都内の市場に出荷される。
最近は長男夫婦に手伝ってもらうようになったが、主に一人で農作業にいそしむ川並さん。「この年まで丈夫で働けるのが一番の幸せ」と充実した表情を見せた。

■メモ
JA新ひたち野ネギ部会 ひたち野支部
▽JA新ひたち野ひたち野営農経済センターの住所は石岡市三村6905の1
▽(電)0299(56)3100

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