甘く大粒 収量3割増 イチゴ新品種、とちおとめ越え 県、農水省に登録出願 開発7年、王国の主力候補

下野新聞
2018年11月16日

 県は14日、県農業試験場いちご研究所が開発したイチゴの新品種「栃木i37号」が、農林水産省から品種登録について出願公表されたと発表した。公表日は13日。市場調査などを経て、早ければ来年度中にも一般販売される。新品種は耐病性に優れ、酸味が少なく甘いため、生産者が育てやすく消費者が食べやすいのが特長。「とちおとめ」に並ぶ「いちご王国」の主力候補として期待される。

 14日県庁で開かれた記者会見で福田富一(ふくだとみかず)知事は「耐病性や食味など、生産者と消費者双方にメリットがある。とちおとめをしのぐものができたという点で価値がある」と強調した。

 洋菓子など業務用と一般家庭で消費されるとちおとめと、贈答用などの「スカイベリー」といった既存品種に対し、栃木i37号は一般家庭をターゲットに消費拡大を目指す。

 栃木i37号は2012年から、とちおとめの欠点改善を育種目標に開発し、約1万株の中から7年かけて選抜された。赤みが濃く、丸みを帯びたきれいな円すい形で、とちおとめより一回り大きい。品種登録されれば、一般家庭向けとしては1996年登録のとちおとめ以来となる。

 県産他品種に比べ果実がやや硬く長距離輸送に向くため、海外や関西圏への販売面でも期待がかかる。

 また生産現場を悩ます萎黄(いおう)病への耐性があり、とちおとめに比べ3割ほど収量も優れるという。収穫始めが10月下旬と県産主力品種で最も早く、一度果実を摘んでもすぐ花をつけて連続して収穫できるため、生産者のメリットも大きい。

 一方、収穫初期に先端が変形・白化した果実が「5%ほど」(いちご研究所)発生する特徴もあり、解決すべき技術的課題も残っている。

 今後1~2年間、栽培試験やスーパーでのテストマーケティングを実施する。生産者や消費者らから高評価を得られれば普及品種として決定し、名称を決める。名称の決め方は検討中。

 全国の品種登録・出願状況は、今月13日時点で登録品種数が158、出願公表数は栃木i37号を含め35となっている。