土浦の2店、有形文化財 旧大徳呉服店・旧野村さとう店 文化審が答申

茨城新聞
2016年3月12日

国の文化審議会(宮田亮平会長)は11日、ともに土浦市中央の旧大徳呉服店店蔵など建物5件と旧野村さとう店店舗兼主屋など建物4件をそれぞれ国登録有形文化財(建造物)に指定するよう、馳浩文部科学相に答申した。文化財登録原簿への登載は7月ごろとみられ、本県の登録有形文化財は計276件となる。

旧大徳呉服店は、江戸時代から土浦の商業の中心地として栄えた中城通りに位置。町屋造りの建築物として、地区の景観形成に重要な役割を果たしている。同店の店蔵北棟は土蔵造り2階建てで、南棟は本格的な書院座敷を備える。袖蔵は北棟の西に立ち、商品の呉服を収納していたことから、かつては呉服蔵とも称された。元蔵は、土浦城下では希少な、天保大火を逃れた土蔵の遺構として価値があるという。

旧野村さとう店は江戸時代から続く商家「野村家」によって明治時代前期~中期に建てられた。明治以降は砂糖や水あめの卸問屋として栄えた。

店舗兼主屋は重厚な構えを持ち、文庫蔵は2階建て土蔵で、1階の出入り口、2階の窓ともに黒しっくい塗りの戸をつって、掛子塗りとする外観が特徴。れんが蔵は土蔵造りを中心とする街並みの中で、れんが造りが異彩を放っている。 

■市、観光拠点化に期待
国登録有形文化財(建造物)への指定が答申された、土浦市の旧大徳呉服店と旧野村さとう店。市中心部の中城通り(旧水戸街道)を挟んで向かい合う両建物は、同市が推進する「歴史と文化の漂うまちづくり」の拠点・まちかど蔵「大徳」「野村」として利活用が図られている。市は同文化財への登録により、通り全体の観光拠点化に向けて弾みがつくと期待する。

「大徳」は、市が所有者から建物の寄贈を受け、1998年にオープン。土浦市観光協会の事務所が置かれているほか、1階は土浦土産が並ぶ売店、2階は貸しギャラリーなどに利用されている。

一方、「野村」は2002年、市が所有者から土地を買い取り、建物は寄贈を受けた。奥のれんが蔵は喫茶店に生まれ変わり、そば打ち体験に利用されている蔵もある。

大徳と野村は「商業のまち土浦」を語るのに不可欠の建物として、また観光客へのおもてなしの拠点として存在感を増している。

市文化課は「今回の登録はいわば第1弾。中城通りにはまだ貴重な建物がある。さらに登録が増えれば、面的な観光資源となり、認知度が高まって川越のようになれるのではないか」と期待を膨らませる。 

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