《まち歩き・里歩き》スタート 小平の里親水公園 (みどり市大間々町小平) ロウバイ香る山里

上毛新聞
2016年1月27日

豊かな自然に囲まれたみどり市大間々町小平地区。市の観光施設「小平の里」があり、年間を通して多くの観光客が訪れる。施設内の親水公園をスタート地点に、のどかな山里を歩いた。 親水公園は小平川の岸辺が整備され、水車小屋や遊具が点在する。川辺を歩く浅野剛さん(41)=写真上=と長男の稀(まれ)ちゃん(2)=同下=に出会った。剛さんは「近くなのでいつも散歩に来ています。もうお決まりのコース」と話すイクメンぶり。手をつなぎ、ゆっくりと帰る親子を見送った。
園内の野口水車保存館(入館料大人100円)に立ち寄ると、大きな水輪と忙しそうに動くきねが目に飛び込んできた。リーフレットには1910年に造られた水車で、屋内型としては国内有数の大きさと書いてある。カタン、カタンという小気味よい音に、しばらく耳を傾けた。
県道小平塩原線に出た先に、南北朝時代の1349年に開かれたという正福寺があった。細い石段を上り切ったところで、赤いずきんをかぶった六地蔵が迎えてくれた)。鳥の声だけが聞こえる静けさの中、六地蔵の穏やかな顔つきに心が和んだ。
小平の里鍾乳洞公園は鍾乳洞のほか、湿性植物園やレストラン、売店もある。入り口の看板にある「ロウバイ咲いてます」の言葉に期待しながら、植物園(入園は鍾乳洞と共通券で大人310円)に入った。
園内は上品な黄色の花を付けたロウバイが見頃で、甘い匂いが漂っていた。園内を夫婦で散策していた西山信男さん(67)=桐生市東=は「香りがよくて色合いもきれいだね」と妻の陽子さん(65)に話し掛け、陽子さんは「黄色は幸運の色だから、何かいいことありそう」とほほえんだ。
再び県道を南下した。空気は冷たいが、たっぷりの日差しを浴びながら歩けば、足取りも軽くなる。民家の庭先にもロウバイが咲き、冬枯れの中でも温かみを感じさせる。
しばらく歩き、赤いのぼりが何本も立つ菅原神社に立ち寄った。社殿に2月初めの「お焚(た)きあげ」の祭礼が貼り紙で告知されていた。貼り紙の下の段ボールは、札やだるまでいっぱい。「お疲れさまでした」と心の中で唱えた。
県道を引き返してすぐ、「浅原百観音」という案内板が目に入った。看板の矢印の通りしばらく歩くと、道沿いにずらりと並んだ石仏が現れた。「百観音」の名に偽りのない光景に驚いた。
解説板には、江戸時代中期の天保の大飢饉(ききん)を受け、住民たちが国内3カ所の霊場の観音を手本に石仏を彫らせて祭ったとある。住民の結束に感心し、現地を後にした。

【コースの特徴】
大半がゆるやかな下りの3キロ。県道は車に注意したい。

【寄り道したら】「小平の里柏亭」 蒸したて食べ 散策を
小平の里鍾乳洞公園にある小さな売店。店先のせいろで蒸すまんじゅう(1個100円)=写真=が自慢の一品で、特に休日は多くの人が買い求める。
地粉と北海道産の小豆を使い、店内で手作りしている。軟らかい皮とほどよい甘さの粒あんは、幅広い世代に受けているという。手頃な価格だが、満足感のあるボリュームだ。
小平の里の関口全一郎所長は「まんじゅうなので、食べながら施設内の散策を楽しむ人も多い」と話す。
今の時季は午前9時~午後4時で、4~9月は午後5時まで。火曜定休(4~11月は無休)。問い合わせは、同施設(☎0277・73・2006)へ。

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