CF活用しユニーク事業 茨城・かすみがうら市が支援 ウナギ漁やキャンプ体験

茨城新聞
2022年10月10日

茨城県かすみがうら市で企画実現のためネットで寄付を募るクラウドファンディング(CF)を活用して、ユニークな事業を立ち上げる事業者が増えている。霞ケ浦の天然ウナギの提供や里山のキャンプ体験といった地域資源の活用や課題解決型が特徴だ。市はCF会社と協定を結び、市民や事業者が運営会社に支払う手数料を補助する制度も設けた。市民の活動を積極的に後押しする考えだ。

▽特産物で交流
「霞ケ浦の天然ウナギのおいしさ、伝統文化の良さを多くの人に知ってほしい」。同市安食の霞ケ浦湖畔でウナギ漁に取り組む漁師で、「うなぎ村」プロジェクトを展開する外山厚志代表は力を込める。

祖父の代から続く漁師になるため会社勤めを辞め、ウナギ漁に特化。交流サイト(SNS)を駆使し、自ら「麦わら村長」と名乗って情報を発信する。 ウナギは霞ケ浦各沿岸に400個以上のわなを設置し、毎日漁獲する。小さなウナギは一定期間飼育者に預け、大きくしてから放流し、資源を守る。

SNSで募集した参加者にウナギ収穫体験や料理を提供。交流が好評でファンも増えてきた。外山さんは実家の倉庫を改修し、体験や文化発信の拠点をつくりたいと考え、CFで資金を募った。外山さんは「ウナギだけでなくコメや野菜など特産物をここに来た人に食べてもらい、地域活性化につなげたい。ぜひ応援してもらえれば」と訴える。

▽課題解決
市内のCFでは、耕作放棄地での農園開設が実現した。荒れた里山を保全しキャンプやアウトドア活動の拠点をつくるプロジェクト「湖山アウトドアビレッジ」も現在展開されている。元牛舎の建物を改築し、アウトドア拠点施設とし、キャンプや自然体験の場を提供。間伐や里山整備で出たまきも供給していく。

市地域未来投資推進課は、市内で空き家や耕作放棄地、里山荒廃といった課題が多いと指摘。「地域の困り事を解決する仕掛けづくりをすることで、産業振興につながれば。さまざまな後押しをして全国から人や企業が集まるきっかけをつくりたい」と強調する。

▽手数料を補助
市はCFを活用した市民活動を促すため、CF運営会社「キャンプファイヤー」(東京)、同社協力会社クラウドファンディングデザイン(つくば市)と包括連携協定を結んだ。

地域貢献につながる活動には、CFの助言や手続き方法、ウェブデザイン支援を行う。市民団体がCFを使う際に手数料を補助する。補助額は最大50万円で、本年度は2件を見込む。

クラウドファンディングデザインの渡辺ゆりか社長はつくば市や龍ケ崎市でも同様の支援により実践例が増えたとし、「CFは個々の夢や希望を基に、地域で仕掛けることで新しい流れが起きる利点がある。プロジェクトを機に人の交流、広域での連携ができ、地域活性化につながる」と活発な活用を促している。