《いばらき御朱印めぐり》高萩・八幡宮 古杉巻き付く白ヘビ

茨城新聞
2022年9月8日

 ■地元の書家、画家描く

常磐自動車道高萩インターチェンジ(IC)を降りて、車で数分に位置する茨城県高萩市立高萩小学校近くにある「八幡宮」(同市安良川)。地元の人には安良川八幡宮や高萩八幡宮などと呼ばれ、親しまれている。同神社の御朱印は、古木杉に巻き付く白ヘビの図案と神社名を、市内在住の著名な書家と画家が手がけたのが特徴だ。

参道には、樹齢200~300年の杉が立ち並び、静寂な空気に包まれている。創建は985年。京都府にある石清水八幡宮(旧男山八幡宮)から分霊されたのが始まりとされる。本殿には「応神天皇」をはじめ「神功皇后」「日女(ひめの)大神」の3柱が祭られている。八幡神が「戌亥(いぬい)」の守護神といわれることから、犬にあやかって安産祈願の参拝者も少なくないという。

同神社は、かつては手書きの御朱印を頒布していたが近年のブームもあり、参拝者1人で数枚を求めることもあり、3年前から書き置きに切り替えたという。

現在の御朱印は3種類ある。同市在住の書家、鈴木赫鳳(かくほう)氏と同じく画家の中村光夫氏による「八幡宮御朱印」(黒・ピンク)と、中村氏の絵と同市在住の書家、時崎伍鳳(ごほう)氏がしたためた「市杵島(いちきしま)神社の御朱印」だ。

八幡宮の3種類の御朱印

 

八幡宮御朱印に描かれる巨木にヘビが巻き付く絵は、本殿左側にある高さ約35メートル、幹回りが約10メートルある国の天然記念物「爺杉(じいすぎ)」にまつわる伝説がモチーフとなっている。

爺杉には「息を止めて3周すると白ヘビが現れ、願い事をかなえてくれる」という伝説が残っているそうだ。禰宜(ねぎ)の鈴木誠人(あきひと)さん(26)は「今よりこの場所が自然豊かだった時代、この辺りには白ヘビが出たそうです」と、説明する。

もう一方の「市杵島神社の御朱印」には、たおやかな市杵島姫命が描かれている。「宗像(むなかた)三女神の一人。日本の神様の中で美人の神様といわれている」(鈴木禰宜)。

中でも人気を集めるのは黒色の「八幡宮御朱印」。多い月では200枚頒布することもあるという。

ほかにも同神社の見どころがある。境内には、かつて爺杉と夫婦杉と呼ばれた樹齢約800年の「婆杉(ばあすぎ)」があったという。1959年の伊勢湾台風で倒れ、その姿形はないが記念石として、今に伝えられている。鈴木禰宜は「七五三の参拝者減少などで、このまちの少子化を肌で感じる。御朱印や神社でのイベントを通じて、まちを盛り上げていきたい」と目を輝かせた。(毎月第1土曜日掲載)

■メモ
アクセス…高萩ICを降りて右折、秋山十字路を左折して国道461号に入り、そのまま進んでいく。車で約10分。
住所…高萩市安良川1173
電話番号…0299(22)3611
御朱印…3種類とも見開き。1枚500~700円。
受け付けは午前10時~午後4時。無料駐車場あり。
※インスタグラムもある。8manguu.takahagi