工芸体験、静かな人気 茨城・坂東の交流施設「秀緑」
■木工・陶芸・ガラス 児童、作品入選も
茨城県坂東市岩井の市観光交流センター「秀緑」で行われている工芸の体験講座が好評だ。同センターには木工、陶芸、ガラスの工房があり、制作体験ができる。人混みを避けつつ、余暇を楽しみたいというコロナ禍時代の需要も満たし、静かな人気を呼んでいる。
同センターは2016年にオープン。登録有形文化財にも指定された「旧大塚酒造」の建物を活用し、講座やイベントを開催する体験型観光交流施設として運営されている。工房は開業時から稼働しており、元酒蔵の風格ある建物の中で自分だけの作品が作れるとあって、来訪する人が後を絶たない。手作りの楽しさに魅了された人の中には、近隣で1泊し、3分野全てに挑戦して作品を仕上げる人もいるという。
コロナ禍以降は「家で過ごす時間が増え、新たな趣味を見つけたい」「混雑しない所で子どもの思い出づくりに」といった動機から来訪者が増えているという。同センターを管理する市商工観光課はマスク着用とアルコール消毒を義務付け、人数制限を設けるなどして感染対策を徹底している。木工の「ゆめうり工房」代表の及川光雄さん(65)は「ボールペン作りは20分で出来上がる人気の講座。混み合う場所を避け、気軽に思い出がつくれる点が受け入れられている」と説明する。
1回限りの体験講座のほか、木工と陶芸は定期的な教室(月2回から)も開講。「ゆめうり工房」の彫刻教室に通うつくば市の上田直さん(67)は「コロナで外出が厳しい中、1人で黙々と作業する彫刻には助けられている」と話す。
この夏、陶芸の「ばんどう陶芸教室」に吉報が舞い込んだ。笠間市の県陶芸美術館で開催中の「全国こども陶芸展inかさま」(茨城新聞社など主催)で、文部科学大臣賞、笠間日動美術館長賞、選奨を、同教室に通う3人がそれぞれ受賞した。
教室を主宰する赤羽根友里香さん(35)は、「子どもの自由な発想を大切にしている。(受賞は)3人の努力のたまもの」とたたえた。選奨の千葉県野田市、中学1年、風見エリックさん(12)は「オープンしたときから工房に通っている。楽しいから続けられる」とうれしそうに語った。