歴史薫る文化拠点誕生 栃木 市文学館開館祝い式典

下野新聞
2022年4月28日

【栃木】市が整備を進めてきた入舟町の「市文学館」が27日、オープンした。約100年前に栃木町役場として建てられた市指定文化財の建物が、建築当時の姿を残したまま文学館として生まれ変わった。開館式には関係者ら約30人が出席し、新たな文化拠点施設の誕生を祝った。

同館は1921年に栃木町役場として建てられ、その後市役所庁舎としても使われた明るい緑色が特徴の洋風建物。国の地方都市リノベーション事業に選ばれ、市は2017年に文学館と美術館整備に関する基本計画を策定し、11月開館予定の「市美術館」と合わせ約35億円かけて整備した。当初は21年に開館する予定だったが、台風による災害やコロナ禍、建物の想定以上の傷みなどによって完成が遅れた。

建物は木造・鉄筋コンクリート造2階建て。延べ床面積約1032平方メートル。1階は市ゆかりの先人の展示コーナーや休憩コーナーで、2階は市出身の作家山本有三(やまもとゆうぞう)や吉屋信子(よしやのぶこ)、柴田(しばた)トヨさんを中心に常設展示している。9月25日まで開館記念特別展「有三・信子・トヨの育った時代」も開催している。

開館式には、市教育委員や関係団体などが出席し、大川秀子(おおかわひでこ)市長は「文化意識向上と地域活力のにぎわい創出を目指す」とあいさつ。テープカット後、出席者らは館内を見て回った。午後1時には一般公開が始まり、県内から訪れた多くの人でにぎわった。

開館時間は午前9時半~午後5時。毎週月曜、年末年始休館。常設展220円。特別展は330円(いずれも中学生以下は無料)。