書家・立石さん功績紹介 茨城・古河で遺作展 個性豊かな36点、愛用品も
茨城県古河市出身の書家で同市の文化振興に尽くした立石光司さん(1927~2002年)の遺作や人物を紹介する特別展「墨魂 創作から臨書へ」が、古河歴史博物館(同市中央町3丁目)で開かれている。古典臨書や創作書など36点のほか筆などの愛用品計100点以上を展示している。5月8日まで。
立石さんは1933年に地元の書家、大久保翠洞氏に師事し、43年の興亜書道連盟展・青少年の部で内閣総理大臣賞を受賞した。この作品が〝昭和の三筆〟と言われる書家・手島右卿氏に注目され、49年に師事。手島氏が創立した独立書道会(現在の独立書人団)の会員に名を連ね、晩年まで会の中枢を担った。
中央書壇で活躍する一方、地元で木工所を営みながら、古河の篆刻(てんこく)作家・生井子華、大久保氏とともに古河地方書人会を設立。市文化協会理事長などを務め、書道団体「鳳龍会」を立ち上げるなど、古河の文化振興をけん引。篆刻美術館の設立を提言し、開館にも携わった。
個性豊かな作品が多数並び、60歳の時に制作した「龍虎」(87年)は、右側に龍、左側に虎を配置し、絵画のようなデザイン性に富んだ書。「心」(69年)は、画数の少ない文字を墨の濃淡で表現し、見る者に「書とは何か」を問いかけている。
独立書人団会員で、立石さんのまな弟子でもある印出隆之さん(40)は「先生の作品の解説や先生の功績などを詳しく紹介している。篆刻美術館も巡ってほしい」と話している。問い合わせは同館(電)0280(22)5211。