茨城・かすみがうらの郷土史家・長谷川愛石知って 企画展 遺物収集

茨城新聞
2021年9月30日

考古学に興味を持ち、旧石器時代や縄文時代の石の道具を集めた、茨城県かすみがうら市の郷土史研究家、長谷川愛石(1868~1942年)を紹介する企画展が同市坂の市歴史博物館で開かれている。大正から昭和初期にかけて遺跡を訪ね歩き、数千点の遺物を収集し研究資料を後世に残した。石碑の文章家や村長の経歴もある多彩な人生をたどる。10月17日まで。

愛石は土浦市生まれ。10代後半から20代前半にかけて考古学に興味を持ち、漢学の研さんを積んだ。

25歳で志筑村(現かすみがうら市)の豪農、長谷川家に養子に入り、研究のため遺跡を訪ね歩いた。40~50代は県内70カ所の遺跡を調べ、矢尻や石の道具など数千点の遺物を集めた。この間、絵や地図を交えた石器に関する著作を多く書いた。調査には全て歩いて行き、大雨の日でも集めた石器類を抱えて何日もかけて戻ってきたという。

顕彰碑などの石碑の文面を作る「撰(せん)文」にも能力を発揮した。郷土の知識人として依頼が多く、主に人物の功績を記した。7人の碑文を写真で紹介している。

愛石は40代後半から志筑村議や村長も務めた。世界恐慌時代に農民の雇用や物流促進のため、道路建築工事を行ったことで、事業は「救済道路」と呼ばれた。

同館の千葉隆司館長は「郷土史家の熱意で残された著作や収集資料は郷土史を学ぶための重要な基礎資料。市を代表する郷土史家、愛石の業績を知ってほしい」と話した。

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