熱帯果物 百貨店で販売 「あやね」販路開拓 益子町、マッチング支援

下野新聞
2021年9月8日

 熱帯果樹栽培のあやね(益子町前沢、塚田彩音(つかだあやね)社長)は先月から、生産したバナナとパイナップルを宇都宮市宮園町の東武宇都宮百貨店で販売している。「農産物の販路拡大」を町経営計画に盛り込んでいる益子町があやねから相談を受け、百貨店側とのマッチングを支援し、実現した。

 同町の池田浩之(いけだひろゆき)産業建設部長は「行政の進める販路開拓支援は、個別企業までは踏み込めていなかった。だが付加価値の高い商品はもっと後押ししたいとの思いがあり、計画に基づいて支援した」と説明する。

 あやねは、土壌汚染調査や室内環境測定などを手掛ける環境公害分析センター(宇都宮市問屋町、塚田加代(つかだかよ)社長)が熱帯果物生産に取り組むため2018年に立ち上げた。19年5月から益子町生田目のビニールハウスで、バナナやパイナップルなどの栽培研究を進める。

 バナナはグロスミッチェル、パイナップルはピーチパインという品種を栽培する。どちらも国産品は珍しいとされる。同社によると、バナナは粘り気のある食感と華やかな風味。パイナップルは桃のような甘い香りがし、過熟になる直前まで成熟させて出荷する。

 同社は取引先などへの贈答用のほか、道の駅などに出荷していた。だが小松誠(こまつまこと)青果物開発課長(40)は「私どもは作るのが専門。販路も道の駅しかないような状態で非常に困っていた」と明かす。そこで県芳賀農業振興事務所に相談したところ、益子町を紹介された。

 同町は、経営計画「第3期ましこ未来計画」(21~25年度)の施策に「農産物の販路拡大」を掲げており、同社の熱帯果物は付加価値が高いことから支援を決め、東武宇都宮百貨店とマッチングした。

 池田部長は「益子町から宇都宮、栃木県内に知名度を上げ、その先は首都圏を目指してもらいたい。そして町の経済活性化を図り、雇用の増加に結び付けてほしい」と期待を寄せる。

 あやねの果物は、東武宇都宮百貨店の地下食品売り場に「益子ばなな」と「益子ぱいん」として並ぶ。価格は一般的な商品に比べると高いが、店側は「お客さまに好評」という。販売は今月中旬ごろまで。

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