《食いこ》古民家で気軽にフレンチ ビストロ泉邸(茨城県那珂市) 野菜は有機栽培

茨城新聞
2021年8月15日

田畑の広がる集落に溶け込むように立つ長屋門。築140年以上の古民家を改装した「ビストロ泉邸」は、店舗であることをあまり主張しない落ち着いた雰囲気だ。

建物の中に入ると、屋根を支える何本もの大きな梁(はり)が目を引く。もとは、オーナーシェフ、小泉雅樹さん(43)の祖母の実家だったが、近年は空き家になっていた。「子どものころに遊んだり寝泊まりした思い入れのある家。活用したいと思った」と小泉さん。幼少期から夢見た料理人の道へ進み、フランスで腕を磨いた後、2019年5月に店を開いた。

ランチメニューはコースで、メインが肉か魚のどちらか一方(2750円)と、両方(3300円)の3種類。取材に訪れた7月下旬は、ローストポテトのサラダに、メインは鮮魚のポワレと国産豚肩ロースのソテーだった。フレンチは敷居が高いと思われがちだが、小泉さんは「フランスの家庭料理の味が基本。肩肘張らず、気軽に味わってもらいたい」と話す。そんな「小泉流フレンチ」を目指し、フランス語で“気軽に利用できる小レストラン”を意味する「ビストロ」と、自身の名字を組み合わせて店名を付けた。

お薦め肉料理「国産豚肩ロースのソテー・ソース・バルサミコ」

 

店で提供する主な野菜は、兄一樹さん夫妻が敷地内にある畑で有機栽培している。火を通すと、とろっとした食感になるイタリアナスの「ヴィオレッタ・ディ・フィレンツェ」や白っぽいカボチャのような形の「UFOズッキーニ」といった西洋野菜がほとんどだ。「安心安全で、珍しい野菜を使いたかった」と小泉さん。一樹さんによると、化学肥料や農薬を使わない有機栽培は野菜がゆっくり育つため、味が濃くなるという。

新型コロナウイルスの感染対策で、ランチは1日2組、1組当たり最大6人まで。人数が限られている分、一人一人に合わせたきめ細かなサービスが提供できる。妻の絵美さん(39)らスタッフとともに、客が苦手な食材を抜いたり、量を調整したりと、より満足してもらえるような接客を心掛ける。

外出自粛が続く今だからこそ「おいしいものが食べたい時に、思い出してもらえるような店にしたい」と小泉さん。「気楽に足を運び、楽しく食事ができる場所を提供し続けるのが自分の使命」と言い切り、地域に根差したビストロとして、日々温かく客を迎える。

お出かけ情報
ビストロ泉邸
▼住所は茨城県那珂市門部2709の1
▼営業時間はランチ午前11時半~午後1時半ラストオーダー(予約がお勧め)、ディナー午後5時半~同8時半ラストオーダー(要予約)
▼定休は水、木曜
▼(電)029(295)2437
※子ども連れの場合は要相談

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