採掘現場のスタミナ食  マニングライス あづま本店(佐野)

下野新聞
2021年7月24日

 一見、意味不明なこのメニューの名前は、採掘を意味する英語「マイニング」が転じたという。

 江戸時代から石灰のまちとして栄えた葛生地区。採掘の現場で働く労働者に精を付けてもらいたいと、1940年ごろ開業したあづま本店の初代代表が考案したのがマニングライス(1250円)だ。

 「当時は肉や卵が貴重だった時代。地域の人たちに頑張ってもらいたいという思いを込め、これらをふんだんに使ったのでしょう」。3代目の渡辺伸孝(わたなべのぶたか)さん(52)はこう解説する。

 以後約80年、この料理は中華そばなどとともに、店の看板メニューの一つとして親しまれてきた。

 県産豚の肩ロースのソテーをふわふわの卵焼きで包み、基本的な味付けは塩、こしょうのみ。卵焼きに乗ったケチャップもあえて控えめだ。添えられたレモンを搾ると、それぞれの素材の味が一層引き立つ。

 渡辺さんは「ほかの味付けも試したが、豚肉自体が持っている甘味、おいしさを楽しんでもらうためには、やはりシンプルな味付けが一番。これからも郷土料理と思って、この味を守っていきたい」とこだわりをみせる。

 【メモ】佐野市葛生東1の3の17。月曜定休。(問)0283・85・2366。

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