大観や芋銭、雪村など 水墨62点、幅広い表現 茨城県五浦美術館

茨城新聞
2021年8月3日

中近世から現代までの水墨画の世界を紹介する企画展「ひろがる墨-五彩に出会う」が、茨城県北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開催されている。横山大観や小川芋銭など茨城県ゆかりの画家のほか、中世水墨画を代表する雪村から現在活躍を見せる画家まで、幅広い表現の作品62点を展示している。

企画展は全7章で構成。1章では導入として、岡倉天心が墨とどう関わってきたのかを紹介し、天心の詩作「登慈雲寺(じうんじにのぼる)偶感(ぐうかん)」を県内初公開しているほか、天心がインドの知人に贈ったとされるすずり箱も初出品している

4章で展示する、16世紀に描かれた雪村の「敗荷鶺鴒図(はいかせきれいず)」は、ハスの花とセキレイが絶妙なグラデーションで表現され、水墨の魅力を楽しめる作品となっている。

5章は大観の「朝霧」や芋銭の「海島秋来」など、繊細な墨の濃淡によって描かれた風景が目を引く。7章では現在最前線で活躍する画家4人の作品を展示し、浅見貴子さんの「Matsu20」は、松の木が緻密な画面構成で力強く描かれている。

浅見貴子「Matsu20」(2005年)

 

このほか、筆の動きや墨の線が特徴的に感じられる作品群や、にじみやぼかしを生かした水墨画が並ぶ。

企画展を担当する塩田釈雄学芸員は「墨の絵は古くから『五彩を兼ねる』といわれており、墨の黒の中にさまざまな色合いを感じることができる。ご来場いただいた方に墨の色彩を感じてほしい」と話している。

会期は9月26日まで。期間中はさまざまな関連イベントがあり、同月5、18各日には担当学芸員が同館講堂で作品解説を行う(同館ホームページから要申し込み、抽選)。

夏休み期間を除く土曜は高校生以下が入場料無料、9月15~21日は満70歳以上が無料となる。

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