《いばらき御朱印めぐり》心静かに写経納める 日立・天童山大雄院 仏の教え、一端に触れ

茨城新聞
2021年6月25日

寺社が参拝の証しとして出すのが御朱印。茨城県日立市宮田町、曹洞宗の寺院、天童山大雄院(だいおういん)=南秀典住職(47)=の御朱印は、同院を参拝し、写経を納めて初めて授与される。南住職は「写経体験を通して、仏様の教えの一端に触れてもらえれば」と話す。

大雄院の限定御朱印と御朱印帳

 

同院は開祖・道元の教えを受け継ぐ南極寿星禅師(なんぎょくじゅせいぜんじ)が、1470(文明2)年に開山したと伝わる。

南極禅師が常陸の国に道元の教えを広めようと、田尻村渡志(同市田尻町)の観音堂にこもったところ1頭の白馬が現れ、宮田川渓谷の現在地に導かれたという。

禅師は山中に僧庵を建て、寝食を忘れて座禅を組んだ。禅師の高い徳を慕ったこの地の城主・小野崎朝通が付近の土地五十町歩(50ヘクタール)を寄進し寺院を建立した。禅師は周囲の風景が中国の天童寺に似ているところから山号を天童山とし、大雄院と名付けた。

同院は以後、数々の優れた学僧、名僧を輩出し、常陸地方における曹洞宗の中心寺院として広く知られるようになる。水戸藩の保護も受け、2代藩主・徳川光圀もたびたび大雄院を訪れたという。

現在同院では本堂での写経を随時受け付けている。南住職は「より多くの方が心静かに写経することで、日常を離れ、しばし法悦に浸る時間を持っていただければと思い始めました」と経緯を説明する。

「初めての方には『般若心経』をお勧めしています。40分から1時間半ほどで書き終えられます」(南住職)。短めの「舎利礼文(らいもん)」や「観音経」も選べる。

写経に取り組みやすいよう同院では、手本を下敷きに筆ペンでお経をなぞる写経用紙を用意している。文字が難しければ仏様を写す写仏用紙もあり、手ほどきもしてくれる。日常を離れ、厳かな気持ちにつかの間浸るのも一興ではなかろうか。

昨年同院では年間を通して、一仏両祖(福井の永平寺、横浜の総持寺)をデザインしたものと、四季の花々をあしらった御朱印を授与した。この4、5月は御詠歌の一節を記した2カ月限定のものを頒布。6、7月はデザインを「真清水」に変えた。三尊仏(釈迦(しゃか)、普賢菩薩(ふげんぼさつ)、文殊菩薩)の意匠を凝らした御朱印も5月からお目見えした。

9月には同院境内に守護神である天狗(てんぐ)の石像も完工する。天狗にまつわる御朱印を準備中だ。(第1土曜日掲載)

メモ
アクセス…国道6号宮田町三丁目北交差点から西へ大雄院通りへ入り、市立仲町小学校脇を右折。
住所…日立市宮田町5の6の15
電話…0294(21)0696
御朱印…写経、写仏を納めた後授与。6、7月の御詠歌御朱印は「真清水」。見開き、書き置き1500円。直書きは片面のみ1000円。写経受け付けは午前9時~午後3時半。

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