古民家で地ビール製造へ かすみがうら 2022年1月開始 地元の果物使用
かすみがうら市坂の古民家を改装した宿泊施設で、地ビールを製造する取り組みが進められている。製造量が小さな「マイクロブルワリー」を設け、地元のブルーベリーやブドウといった多彩な果物を使った商品づくりを想定する。宿泊客と一緒に作る体験も用意。2022年1月にもビールを造り始め、同4月ごろに売り出していく予定。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため宿泊はキャンセルが出たり人数制限したりと苦境は続くが、コロナ後を見据え新手を打つ構え。
ビール製造を計画しているのは、同市などが出資する観光事業会社「かすみがうら未来づくりカンパニー」。運営する古民家宿泊所「江口屋」の敷地内にある蔵を改装し、300リットルの発酵タンクをはじめ設備を入れて地ビール(クラフトビール)の製造を目指す。名称は「ブルワリー江口屋」とする。
江口屋は江戸時代中期の寛政年間に酒造業を興し、日本酒を造っていた。戦後は醸造を終えて酒店になった。明治後半に建てられた家屋を市が改修し、昨年7月に古民家宿泊所をオープンした。しかしコロナ禍で宿泊は人数制限を続ける。政府の旅行促進政策「Go Toキャンペーン」で一時持ち直したが停止でキャンセルが相次いだ。
同社の今野浩紹(ひろつぐ)代表は、県独自の緊急事態宣言で営業を制限しているが、コロナ後を見据えた企画を打ち出すことを提案する。江口屋の歴史を踏まえ、「ビール造りを通じて、訪れた人や地域の思い出に残るような商品、体験を提供したい」と思いを語った。
同社では12年ごろ開発した地ビール商品「バスライズ」があり、新潟県の醸造所に製造委託して販売。地元のブルーベリーやユズなどを原料にした定番商品となっている。
今回は江口屋で造ったビールとバスライズとの相乗効果を図る考え。今野代表は「市の多彩な果物を使ったフルーツビールを前面に出し、県外にも売って市の魅力を高めていければ」と見据える。
計画では、今年2~3月、同社員がビール製造の研修を受け、4~12月に製造設備を建設。来年春の販売を見込む。設備の費用の一部300万円をクラウドファンディング(CF)のキャンプファイヤーを通じて募る。返礼品には地ビールなどを用意する。
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