常陸大宮・西塩子の回り舞台 3年ぶり公演へ作業始まる

茨城新聞
2019年8月21日

日本最古とされる組み立て式の農村歌舞伎舞台「西塩子の回り舞台」の地鎮祭が20日、常陸大宮市塩子地区の大宮公民館塩田分館グラウンドであり、関係者が約2カ月間の作業の安全を祈願した。3年ぶりの公演となる10月19日に向け、本格的な作業が始まる。今月末には資材となる竹の切り出しがあり、ボランティアも募集している。間口と奥行き各20メートル、アーチ型の屋根の高さ7メートルの壮麗な舞台は、県の有形民俗文化財。

地鎮祭は西塩子の回り舞台保存会(大貫孝夫会長)や市民ボランティア、市と連携する茨城大生ら約40人が参加。神事の後、穴を掘って、舞台の基礎となる主柱などを建てた。

今後、木材約150本、真竹約300本を使って屋根や回転式の舞台を造る。真竹は毎回新しいものを使用するため、地域の竹林から切り出す。9月中旬までに屋根の竹組み、回り舞台の組み立てを終える計画で、大貫会長は「長丁場の作業になるが、けがのないように舞台を完成させたい」と話した。

回り舞台は1945年を最後に中断していたが、江戸時代後期の「文政三年」(1820年)と記された大幕など舞台道具などがあり、貴重な文化財であることが判明。地域住民らで保存会を結成して1997年に復活した。以後、ほぼ3年置きに舞台を設営して、住民らが自ら出演するなど、継続してきた。前回の2016年は、約4千人の観客を集めた。

今年の第7回定期公演は、大宮北小児童による常磐津「子宝三番叟(さんばそう)」や歌舞伎「白波五人男・稲瀬川勢揃いの場」、地元住民による歌舞伎「太閤記・十段目」などのほか、地元の舞踏家、堀馨予(かおよ)さんの創作ダンスがあり、栃木県烏山市の山あげ祭保存会の歌舞伎も披露される。

地域の高齢化が進み、舞台を組み立てる人手が足りないため、ボランティアを募集している。問い合わせは、まちむすび合同会社(電)0295(53)5578

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