金剛力士像の修復完了 桜川・薬王院 鎌倉時代作、慶派か

茨城新聞
2019年8月9日

桜川市真壁町椎尾の椎尾山薬王院(竹林史典住職)で、仁王門にあった金剛力士像の修復が完了し、開眼法要が8日、同寺で開かれた。当初は江戸時代に復元されたものと思われていたが、修復の過程で、特徴や技法から鎌倉時代の13世紀の作であることが判明。運慶・快慶で知られる慶派の仏師の制作ではないかとみられている。同寺では、金剛力士像を一般公開している。

金剛力士像は、阿形(あぎょう)像と吽形(うんぎょう)像の2体一組の像で、仁王門に安置され、寺院を守護し健脚を祈る仏様。同寺では、老朽化に伴い2011年から修復作業に入っていた。

同寺は782年創建とされ、室町時代の1550年に山火事に遭い、本尊は免れたが建物や古文書などは焼失。これまで金剛力士像は、1688年に建てられた仁王門と、同時期に再建されたとみられていた。

修復は、大正大学仏教学部非常勤講師の櫻庭裕介さんが担当。体部は一木から彫り出した後、縦に二つに切り離し内ぐりを施して接合する「一木割矧(わりはぎ)」という技法で作られていることが分かった。興福寺食堂(奈良県)や三十三間堂(京都府)内に安置されている仁王像と酷似していることなどから、櫻庭さんは「鎌倉時代の最新流行の技術を持った慶派の仏師が足を運び、金剛力士像を作ったのでは」としている。

金剛力士像の高さは、阿形像が2メートル90センチ、吽形像が2メートル85センチ。仁王門の老朽化が激しく、現在は阿弥陀堂に安置されている。竹林住職は「これだけ大きな像が500年前の大火災から救い出されていたとは思わなかった。きれいによみがえった仏様にこれからも守っていただきながら、参拝者の健脚を祈っていきたい」と話している。

同寺では金剛力士像を公開。午前9時~午後4時。拝観料大人500円。拝観料は仁王門の修復費用に充てる考え。

薬王院(電)0296(55)4319

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