風鈴参道の涼音 今夏も 佐野の唐澤山神社 天明鋳物製500個 「インスタ映え」でベンチ

下野新聞
2019年7月5日

 【佐野】参拝客に夏の風情を感じてもらおうと、富士町の唐澤山神社は13日~8月25日、同神社内に風鈴約500個を飾り付ける納涼行事「風鈴参道~天明鋳物 涼音(すずね)の杜(もり)~」を開く。昨年に続いて2回目で、今回は「インスタ映え」を意識し社殿前に初めて設置する「風鈴ベンチ」が目玉となる。風鈴は1千年以上の歴史がある地元の天明鋳物製で、涼しげで軽やかな響きが参拝客の耳を癒やしそうだ。

 夏にお祭りなどの行事がなかった同神社を盛り上げようと、禰宜(ねぎ)の佐野由希子(さのゆきこ)さんが中心となって昨年初めて開いた。期間中の1カ月半だけで数万人が足を運び、「音色が心地よかった」「来年もやってほしい」といった反響が多数あり、今年も開催に至った。

 今回は、初めての試みとして、社殿前に木製の「風鈴ベンチ」を設置する。周囲に金や銀の風鈴を飾り付けたベンチで、飾り付け部分までの高さは1メートル75センチ、横幅は2メートル73センチ。カップルや家族連れに撮影スポットとして活用してもらうのが狙いだ。

 風鈴は、亀井町の天明鋳物師栗崎二夫(くりさきつぎお)さん(73)が代表を務める「栗崎鋳工所」に製作を依頼した。より良い音の風鈴に仕上がるように、銅とスズを独自の配合で混ぜた合金を使って製作したという。2日も栗崎さんと、長男総一郎(そういちろう)さん(43)で風鈴製作を行い、作業は大詰めを迎えていた。

 天明鋳物は、平安時代の武将藤原秀郷(ふじわらのひでさと)が河内国の鋳物師を佐野に移り住ませたのが始まりともされ、秀郷を祭る同神社との縁も深い。風鈴を天明鋳物製にすることで、地元と神社を同時にPRする考えだ。

 行事期間中は社殿前のほか、参道や山門前などに風鈴計約500個を飾り付ける。

 佐野さんは「緑の中を抜けていく風が鳴らす風鈴のやさしい音色と、余韻を楽しんでほしい」と話している。