《旬もの》尾関たまご村(大子町) 自然の中で伸び伸び飼育

茨城新聞
2019年4月28日

自然の中で鶏を伸び伸びと育てる大子町の「尾関たまご村」。代表の尾関安光さん(55)は小学生から鶏を飼っていた根っからの「鶏好き」。飼う鶏の品種や餌を工夫して、薄い青や茶色など殻の色が異なる素朴な味わいの卵4種類を生産する。

国内で育種改良された純国産鶏種を主力に、ひよこから採卵鶏まで約800羽を飼育する。尾関さんのモットーは「のんびり、ゆっくり、産み終えるまで」。鶏は時間をかけて育て、自然なサイクルで卵を産ませる昔ながらの飼育法を取り入れる。放し飼いと鶏舎の中に放す平飼いで、鶏は草をついばんだり、土をほじくり返したりと地面を自由に動き回る。

餌は全て国内産で、そのほとんどが県産の米やソバ、大豆、麦。「県産の穀物をふんだんに与えている。卵は大地の魅力ともいえる茨城の穀物の味が詰まっている」と餌の地産地消を実践する。「濃淡はあるが、黄身は全体的に薄く、穀物の色になる」

目を引くのは薄い青色の殻の卵。「殻はネモフィラ色で黄身は水仙色」。特に青がきれいな卵は「ブルーエッグひたちネモフィらん」として売り出す。チリ原産の鶏アロウカナを、ひたちなか市産の麦を主食に育てた。「青は胆汁の色に由来する。臭みがなくすっきりとした味」

大子町ブランド認証品「奥久慈たんたん」は「昔懐かしい味わい」の茶色の殻の卵。純国産鶏種「もみじ」を大子町産米などの餌で育てる。

濃い茶色の殻は「蕎麦っくい鶏の常陸そば玉」。オリジナル鶏「常陸あかどり」の卵で、餌には県産常陸秋そばなどを配合しており、「ソバとの相性が抜群」。

純国産鶏種「さくら」を笠間市産大豆などで育てた「まめ食うコッコさんの奥久慈SOY玉」は、殻も薄い大豆色で「甘みを感じられる」。

尾関さんは愛知県出身。高校で養鶏を専攻。農林水産省岡崎種畜牧場(当時)をへて、福島県で烏骨鶏(うこっけい)の卵の生産に携わった。移住した大子町で30年以上養鶏業を続ける。「どこにもない卵を作ることが街おこしにもつながると信じ、自分のできることを極めたい」と意欲的だ。

同町の農家レストラン「みらんど袋田」や道の駅奥久慈だいごのだいご味らんど直売所などに出す。日立、水戸、笠間市に配達も行う。

■メモ
尾関たまご村
▽住所は大子町塙611の2
▽(電)0295(72)9350

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