シラウオ、生に魅力 霞ケ浦産、絶妙な食感人気

茨城新聞
2018年8月27日

霞ケ浦が育むシラウオは7月21日に漁が解禁され、9月に旬を迎える。特に生のシラウオはぷりっとした食感が絶妙で、白く光り輝く姿から「湖の宝石」と絶賛する人もいる。釜揚げなど加工品で見掛けることが多いシラウオだが、近年は生に注目が集まっている。

茨城県で初めて生シラウオを食べ、すっかり「とりこ」になった人がいる。稲敷市内で単身赴任生活を送る横浜市出身の会社員、五十嵐肇さん(49)。2年前、地元の人から聞いて生を食べた瞬間、「こんなおいしい魚が霞ケ浦にいるなんて」とびっくりした。今では、顔見知りの漁師の船に同乗し、漁を見学するほどのほれ込みようだ。

「神奈川県は江ノ島など湘南のシラスが有名だけど、それほど好きではなかった。でも霞ケ浦のシラウオは別物」とべた褒めだ。

県内では大洗のシラスが人気で、生シラス丼に行列ができる店もある。ただシラスはイワシの稚魚。これに対しシラウオはほぼ倍の大きさに成長するだけで、名前も変わらない。

地元の食材にこだわる、かすみがうら市坂のレストラン「かすみキッチン」では、季節限定で生シラウオ丼を提供する。同店は「大きくなってくると、ほろ苦いうま味も加わってくる。季節でそれぞれ違った生シラウオを楽しめる」と、魅力的な食材であることを明かす。

稲敷市須賀津の「宮本商店」は、知人の船から直接仕入れた取れたてのシラウオを販売。漁期の12月までだが、時価とほぼ同じ500グラム当たり千円ほどで販売している。同店は「ショウガじょうゆや三杯酢がお薦め。さっぱりして飽きない」と、素材を生かした食べ方を薦める。

国の統計などによると、本県のシラウオ漁獲量は全国2位(2016年)。多くは霞ケ浦産で、昔に比べかなり減ってはいるが、ここ10年、増加傾向にある。

生シラウオのおいしさを全国の人たちに知ってもらいたいと、県霞ケ浦北浦水産事務所は漁業関係者への意識啓発を行っている。その一つが鮮度保持への低温管理徹底。解凍すれば生で食べられるシラウオの真空パック商品を開発する考えで「流通させていきたい」と意気込んでいる。

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