ふすま絵、修復着々 水戸・好文亭

茨城新聞
2017年8月23日

水戸市の偕楽園にある「好文亭」のふすま絵の修復作業が22日、報道陣に公開され、剥がれた顔料を貼り直す「剥落止め」と呼ばれる作業が披露された。修復を監修する東京芸大大学院の荒井経准教授(49)は「きれいに修復したふすま絵を多くの人に見てもらいたい」と話した。

修復作業は、同市五軒町の工房「泰清堂」で公開された。ふすま6枚12面のうち、まず、絵が描かれた本紙を骨組みから丁寧に取り外した。

日本画の技法で描かれたふすま絵は年数がたつと、絵の具の接着力が弱くなっていく。剥落止めは、顔料が剥がれ落ちるのを防ぐための作業。接着剤として絵の具に使われているにかわの水溶液を筆で少しずつ塗った後、重しを一昼夜置いて定着させる。作業は1面当たり1週間ほどかかる。

本紙は裏打紙を新しく張り替えるため、骨組みから取り外した。この日は、好文亭「紅葉の間」にあった1畳ほどのふすま絵を外した。工房の担当者が、のり付けされた本紙と下地の紙の間に竹べらを差し込み、傷を付けないよう慎重に剥がしていった。

7月に始まった修復作業では、予想以上に劣化が進んでいることが分かったという。好文亭は年間を通じて開放され、外気に触れていることなどが影響しているとみられている。

修復作業は今後も続き、9月末に戻される予定。9月2日には一般市民らを対象に、下張りに使う和紙に墨絵を描く会が水戸市の弘道館で行われる。

工房の表具師、寺門泰三さん(58)は「修復は絵の具を定着させるだけでも時間がかかる。きれいに復活させるため、何とかやりきりたい」と話した。 

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