《ディスカバーいばらき》イベント列車 ゲストが語る(下) 磯山純さん

茨城新聞
2017年5月17日

日常から離れた時間と空間の中で非日常的な「お出掛け感」を味わえるのが旅の魅力だと思う。「ディスカバーいばらき号」でも車窓から眺める久慈川沿いの素晴らしい景色の中で、共通の興味を持った参加者たちが非日常的なさまざまな出会いを経験できるだろう。そうした特別なお出掛け感を、僕やマシコタツロウさんの音楽で演出したい。マシコさんとは「セッションもしたいね」と話している。

子どもの頃は自然の中で思いっきり遊んだ。母の実家は常陸大宮市、父の実家は笠間市なので、川に入って手づかみで魚を捕ったり、カブトムシを捕まえたり、栗狩り、シジミ採りもした思い出がある。ふるさと茨城は、自然体験や遊びの宝庫という感じがする。

僕にとって、ふるさとの象徴は千波湖だ。小さい頃から散歩に出掛けたり、マラソン大会で走ったり、高校時代はギターの練習もしていた。

偕楽園に込めた水戸藩第9代藩主の徳川斉昭公の思いを表す言葉に「一張一弛(いっちょういっし)」がある。強く張ったり緩めたり、緊張したりリラックスしたりという意味だが、千波湖は市民にとって「一弛」の場所、疲れた羽を思い思いに休めるところだと思う。

そんな思いから、「いつか湖のほとりで」という僕の歌は生まれた。「いつか湖のほとりでまた出会えたらいいね。今日の笑顔を忘れずにそれぞれの道へ歩きだそう」というせりふが入っている。

音楽は、人と人をつなげるツールだと思う。ライブやフェスティバルも参加してくれた人たちに出会いの場を提供したいという思いでやっている。大人になると肩書などが邪魔して、子どもの頃のように純真に人と接することができなくなる。でも、ライブ会場などでは裸の心で出会うことができる。音楽で人と人、人とまちをつなぎたい。

僕の歌は実際の体験、経験に基づいている。その時々の思いが込められている。架空の歌も作れるが、「この歌詞どういう意味か」と聞かれて説明できないような歌は作りたくない。スマホでぱっと調べて何でも簡単にできてしまう時代だからこそ、思いを込めたい。いつか、「ふるさと」のような唱歌も作りたい。そのためには、ふるさと茨城をもっと深いところで理解しなければと思っている。

「ディスカバーいばらき号」はJR水郡線(20日)、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線(6月3日)、関東鉄道常総線(同10日)、ひたちなか海浜鉄道湊線(7月8日)で運行、関連して筑波山頂イベント(同22日)も実施する。
いそやま・じゅん 1983年生まれ。水戸市双葉台出身、シンガーソングライター。みとの魅力宣伝部長。茨城放送でラジオパーソナリティーも務める。

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