元日本代表、7年ぶりJリーグ復帰 細貝 前橋育英高出身 「経験伝えたい」

上毛新聞
2017年4月17日

サッカーの元日本代表、前橋育英高出身のMF細貝萌が独2部のシュトゥットガルトからJ1柏に電撃移籍した。欧州で6チームを渡り歩き、腕を磨いた30歳は何を思い、国内復帰を決めたのか。千葉県柏市内の練習場を訪ね、率直な思いを聞いた。
(聞き手・椛沢基史、写真・入山亘)

―7年ぶりのJ復帰。今の心境を。
合流してからあまり時間はたっていないが、以前からこのクラブにいたような感覚がある。周りの選手は自分のことを知ってくれているし、日本語も通じる。これまでの移籍は母国語でコミュニケーションが取れなかった。その辺りが違うせいかもしれない。

―柏を選んだ理由は。
自分を必要としてくれるクラブに行きたくて、それがシンプルにここだった。このクラブは他より平均年齢が低く(加入すれば)若い選手に影響を与えなくてはいけない立場になる。年齢が上になると「自分のことに集中していればいい」となりがち。役割があるところに価値を感じた。
7シーズンを海外で過ごした。その経験を若い選手に伝えることが、柏がレベルアップするために重要。

―海外のクラブは選択肢になかったのか。
実はドイツ国内は(直前まで所属の)シュトゥットガルトで終わりにしようと考えていた。ドイツのリーグはある程度知ることができたし、もっとメリットのある場所でやりたかった。僕はうまい選手じゃないから、たまたま結果的に海外にいられただけ。「戻ってきた」というより「挑戦にきた」との気持ちが強い。

―欧州での6年間で得たものは。
サッカー選手として成長したかは正直分からない。でも人間性、パーソナリティーのところは1歩、上に行けたかなと思う。トルコだと英語の通訳を介して監督と話すこともあったりして、日本ではあり得ない環境でタフになれた。

―ロシアワールドカップが18年に控える。
代表には(本田)圭佑をはじめ、同世代の選手が多い。昔から代表で一緒だから仲もいい。彼らから受ける刺激はプラスになる。だけど、今の自分に必要なのはチームでの結果。「活躍して代表に呼ばれること」を目標とせず、「ここでしっかりプレーすること」を代表につなげたい。「出場機会を求めて移籍」という報道が出たが、ただ出られる可能性があるからここを選んだわけじゃない。

―群馬のファンにメッセージを。
海外に比べて(スタジアムまでの)距離も近くなったので、自分がピッチで頑張る姿を見てもらいたい。群馬出身の選手としてプレーすることで地元のザスパクサツ群馬にもいい刺激になれば、と思っている。

ほそがい・はじめ 1986年6月、前橋市生まれ。前橋育英高―J1浦和―レバークーゼン―アウクスブルク―レバークーゼン―ヘルタ・ベルリン―ブルサスポル―シュトゥットガルト。昨年6月に長女が誕生。趣味は映画鑑賞。177センチ、69キロ。

 

【写真】7年ぶりの国内復帰で「まずはチームの結果が第一」と意気込む細貝=千葉県柏市