《食いこ》城藤茶店(茨城・土浦市) 人をつなぐ古民家カフェ

茨城新聞
2024年1月21日

茨城県土浦市の亀城公園向かいに立ち、紫色ののれんが目印の城藤茶店。窓を開ければ、土浦城を間近に見ることができる。

板ガラスがはめ込まれた引き戸や板張りの和室、日当たりの良い縁側。築90年の古民家をそのまま活用し、店内は昭和の雰囲気が漂う。「懐かしい」という高齢者だけでなく、若者からは「おばあちゃんちに来たみたい」と親しまれる。

築約90年の木造住宅を改装したカフェを運営する工藤祐治さん。「ゆったり落ち着く場にしたい」と話す=土浦市中央

 

店主の工藤祐治さん(56)は宮城県仙台市出身。茨城大への進学を機に、茨城県に移り住んだ。卒業後、集落研究やまちづくりに関わるコンサルタントとして働く中で、空き家になっていた民家の存在を知った。

「まちに根を下ろして、人と人とをつなぐ仕事がしてみたい」。古民家の活用と、にぎわいをもたらす場の創出。その両方を目指し、2014年にオープンした。以来、工藤さん自らが食事やお茶を提供し、店を拠点とした地域おこしを実践する。

紫色ののれんが目印

 

自慢のブレンドコーヒーは、土浦市のコーヒー専門店「ニコニコ珈琲」が自家焙煎(ばいせん)した豆を使用する。コーヒー以外にも、ゆず茶やホットマロンミルク、手作りいちごミルクなど、地元のアレンジドリンクがそろう。

人気のデザート「お餅のワッフル」は、焼き菓子に使う格子状の型を使って餅をぱりっと焼き上げた。出来たてのワッフルに冷たいバニラアイスをのせ、蜂蜜しょうゆがアクセント。しょうゆも地元産だ。

開店から今月で丸10年。新型コロナで客足が減った時期も工藤さんは休まずに店を開け、「常連さんに支えられた」と振り返る。普段はのんびりくつろげる喫茶店。休日になると落語や音楽、演劇などが行われ、店が人をつなぎ、まちを盛り上げる。

最近では「本と珈琲と土浦を愛する有志」を募集し、月に1度、情報交換を始めた。本を切り口にして会話を重ね、若い世代と共にまちの歴史や魅力を発信している。廊下の本棚には、地域の本や郷土史がぎっしり並ぶ。

「お客さんがいつ来ても、温かく迎える場所でありたい」と工藤さん。「まちの実家」のような存在に店を育てたいという。

 

■お出かけ情報
城藤茶店
▽土浦市中央2の15の8
▽午前8時~午後6時
▽定休は水曜(ただし20日は臨時休業)
▽(電)029(895)0283

地図を開く 近くのニュース