《釣り》一つテンヤで大物狙う 茨城・日立沖 マダイ 細かい餌取りに苦戦

茨城新聞
2023年12月8日

水温がなかなか下がらなかった茨城の海だが、ここに来てやっと下がったようでタイ釣りも好調になってきた。そこで日立久慈漁港(茨城県日立市)の釣友丸(若林正行船長)に乗って実釣してきた。

茨城でのマダイ釣りは一つテンヤが主流。茨城県では沖釣りで寄せ餌の使用が禁止されているため。糸の先に重りと針が一体となった小さな一つテンヤを結び付け、それにエビを1匹刺して海中を探るという実にシンプルな仕掛けである。

午前4時半、釣り師10人が乗船場に集合。10番目に私が乗り込むと、船は午前5時に出港した。ポイントは近く、20分ほどで到着、水木の海岸が正面に見える辺り、水深は約20メートルだ。

重りと針が一体化した一つテンヤの仕掛け

この程度の浅場では船を風任せの横流しにすることが多い若林船長だが、この日は北西の風が強く、船首からパラシュートを海中に投入。船は海流に乗り風の影響を受けにくくなった。

東の海面の果てにぼんやり太陽が昇る兆しが見えるがまだまだ船の上は夜だ。暗いうちはタイラバで狙う。一つテンヤはさお先が暗くて見えないのでアタリが取れないから明るくなるまで我慢。すると早速タイラバにヒット!

0・5キロサイズが釣れた。「今日はタイもやる気だぞ!」とどんどん数を釣っていれば、そのうちオオダイも掛かってくる。それが一つテンヤの釣りである。潮の流れも効いていてチャンスと思い、しばらくタイラバを投げては巻くを繰り返した。

しかし思い通りにはいかずアタリはポツリポツリ。明るくなって一つテンヤで狙うといきなりエビが奪われるアタリ! 「よし! ほどほどのサイズ、まずは1匹いただきだ」と思ったのもつかの間、上がってきたのはホウボウだった。

水平線が白み始めたが船上はまだ暗かった=日立沖

真冬のホウボウは脂が乗って美味だが、まだ海水温が高い今はそれほどでもない。その後は細かい餌取りに悩まされる。犯人はベラや小さなハナダイ。そんな釣り客の様子を見かねて私の隣で若林船長がさおを出した。

名人の釣り技を見られるのは最後に空いていた10番目の釣り座の特権。要するに船長がさおを出すのは最も不利な11番目のポジションなわけだ。小魚のアタリも逃さない船長の釣りは勉強になる。

私もまねたが、なかなか思い通りにいかない。自身の作った一つテンヤが餌取りに好き放題やられてしまう。オオダイを釣るために作ったのだからそれで良いのか? 良くないのか?

結局、思うような釣果を上げられず時間ばかりが過ぎて終了。小さなマダイ5匹、ホウボウ、フグ、カサゴ、アイナメなどがクーラーボックスに収まった。「うーむ、次こそは」と出直しを誓って下船した。(奔流倶楽部渓夢・上谷泰久)