知る人ぞ知る“そばどころ”栃木・茂木町 おいしい新そばを味わえる農村レストラン3軒
栃木県茂木町は知る人ぞ知る「そばどころ」。そばを出す農村レストランは3軒あり、右肩上がりに人気を高めてきた。県境を越え訪れる県外のファンも多い。新そばの季節、地産地消の食べ比べを楽しむのはどうだろう。
☆「いい里さかがわ館」 新そば目当てに県外からも
11月中旬、平日火曜の午前11時。逆川地区の住民組織「さかがわ協議会」が運営する直売所とレストランの複合施設、茂木町飯(いい)の「いい里さかがわ館」には開店と同時に客が次々と入ってきた。目当ては新そば。茨城県境が近く「水戸」ナンバーの車も目立つ。
篠田隆支配人(74)は「新型コロナの影響もなく売り上げは伸びた。『常陸秋そば』が有名な茨城から県境を越えて訪れるリピーターが多い」と言う。「きのうはそばどころ鹿沼市の団体が『ここのそばはおいしいと聞いた』と視察に来てくれた」と頬を緩める。
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2008年にオープンした「さかがわ館」同様、地域住民主体の法人や協議会が運営する農村レストラン2軒も繁盛している。いずれも店周辺や町内各所の畑で収穫したソバを使って地産地消のそばを打ち、それぞれ味わいやメニューに個性がある。メニューの工夫や商品の開発にも熱心だ。
どこのメニューにもソバ以外の野菜やコメなどを含め可能な限り地元産を使い、素朴な中に丁寧な仕事ぶりを感じる。3組織とも農村活性化の取り組みで県や全国レベルの表彰を受ける模範的経営を続けている。
☆「そばの里まぎの」 甘みがありコシも強め
中でも茂木のそば人気を引っ張ってきたのが茂木町牧野(まぎの)の「そばの里まぎの」だ。03年4月の開店以来、那珂川の川霧がたつ畑で「牧野在来」ソバを栽培。現在は18ヘクタールから収穫するソバを使い「甘みがあり、コシも強め」な人気のそばを提供し、年間約4万人の客を集めている。
長く名物店長として店を切り盛りしてきた石川修子代表理事(78)は「皆さんのおかげでここまで来られた。農村レストランが3軒あるのは相乗効果があっていい」と笑顔で話した。
☆「そば処おうめ」 地元産野菜の天ぷらにも定評
茂木町青梅の「そば処(どころ)おうめ」は「まぎの」に続き03年5月に開業。まぎのを手本にした。茨城県城里町との境に近く、町の東の玄関口の位置にある。
石臼でじっくりひいた在来種のソバを使った田舎風のそばは道の駅もてぎのレストランでも使われる信頼の品質。地元産の野菜や特産のシイタケ、マイタケの天ぷらにも定評がある。
運営する「青梅協議会」の安田忠雄会長(69)は「3店それぞれ特色があり、食べ比べできるのがいい」と充実の表情だ。
茂木町商工観光課の滝田隆課長は「町民はおいしいそばを食べ慣れているが、それは重要な地域資源にもなっている」と、今後も変わらぬ人気の味が提供され続けることに期待した。