本や雑貨扱う店舗兼イベントスペースが閉店へ 明治の長屋を再建した「カイバテラス」 群馬・桐生市

上毛新聞
2023年10月15日

群馬県桐生市本町1丁目の国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)にある店舗兼イベントスペース「カイバテラス」が、12月末で閉店する。2016年に火災で焼失した明治期建築の長屋を再建した建物で、近くで書店「ふやふや堂」を営む斎藤直己さん(45)が借り受け、書籍や雑貨などを扱ってきた。閉店は物価高騰で経営が厳しくなったことが理由。斎藤さんは「惜しむ声も寄せられ、地域の交流拠点として継続することができず残念」と話している。

焼失前の長屋は1882(明治15)年に建造。織物共進会の会場として利用された後、昭和初期まで織物を扱う定期市の会場に使われていた。長屋前の買場通りで青空市「買場紗綾市」が開かれていた頃は、その拠点となっていた。

16年の火災では屋根や柱など一部を残し燃えたが、所有者が織物取引の歴史を伝えるため修復し、20年から斎藤さんが活用に乗り出した。

カイバテラスでは、生活関連の書籍や服などを販売。カフェを併設し、イベントスペースとしても貸し出した。マルシェなどを開催し地域の交流の場としても親しまれてきたが、物価高騰に伴って経費がかさみ、売り上げも減少したため苦渋の決断をした。

重伝建で建物の保存活用などに取り組むNPO法人「本一・本二まちづくりの会」理事長を務める斎藤さんは「閉店することにはなってしまったが、今後も地域の活性化のために力を尽くしてきたい」と話している。

営業時間は午前11時~午後6時。

詳細はこちら