茨城・ひたちなかと大洗 渋滞緩和へ実証実験 迂回路に誘導強化

茨城新聞
2023年7月24日

茨城県のひたちなか市と大洗町の海浜地区をより魅力的な観光地にする「ひたちなか大洗リゾート構想」の実現に向け、県は2023年度、両地区の課題である交通渋滞の緩和を目指し、実証実験に乗り出す。夏や秋の観光シーズンに合わせ、複数の迂回(うかい)路への誘導案内を強化する。実験結果を周遊観光や誘客拡大に生かす考え。

実証実験は、県が昨年実施した交通状況調査の結果を基に、8月半ばに大洗駅周辺(大洗町)、秋の観光シーズンに海門橋周辺(ひたちなか市)の2地区で行う。それぞれ複数の迂回路を設定し、観光地に向かう経路を分散するほか、車両の位置情報などを収集した「プローブデータ」を活用し、経路ごとに所要時間をリアルタイム表示する案内板を設置する。

海門橋周辺では、那珂湊おさかな市場から国道245号までの約2キロ区間や、同市場から大洗方面の海門橋までの渋滞が課題となっている。実験では、東水戸道路ひたちなかインターチェンジ(IC)から同市場までに複数の迂回路を設定して誘導するほか、海門橋を北上する車両を右折禁止とすることで同橋上での渋滞を抑えたい考え。

大洗では海浜地区にアクアワールド県大洗水族館、大洗サンビーチ、茨城港大洗港区などの主要な観光地が点在し、夏季には国道51号から大洗駅方面へ向かう車列が約2キロに及ぶなど渋滞が常態化している。このため51号の南下を促し、南側から海浜地区へと向かう迂回ルートを案内する。

両地区のリゾート構想を進める上で、県は渋滞緩和が不可欠として実験を進める。今回の実験を踏まえ、駐車場の増設や駐車場料金体系の見直し、交差点改良など来年度以降の本格的な対策も視野に入れる。

県ひたちなか整備室は「渋滞を抑制する対応を検討し、周遊してもらえるような環境づくりを進めたい」とする。

県は昨年5月3日、8月11日、10月16日の計3日間、「国営ひたち海浜公園周辺」(同市)を加えた3地区で交通状況を調査。主要交差点での交通量や渋滞状況、駐車場での車両の滞在時間などを調べた。

同5月3日には各地区の観光客を対象に、迂回路などに関するアンケートも実施。「迂回路を知らなかった」と答えたのは、アクアワールド県大洗の観光客の81%を占め、同市場では70%に上った。